【特定技能】制度の概要・受入企業の要件・手続きを解説

▼目次
1. 特定技能とは?まず知っておきたい制度の基礎知識
特定技能とは、人手不足が深刻な特定の産業分野で、一定の技能や日本語能力を持つ外国人が日本で働くための在留資格です。
2019年4月に創設され、現在では製造業、建設、介護、外食業、農業など幅広い分野で外国人材の受入れに利用されています。
企業側から見ると人材不足への対応策になりますが、
「外国人を採用して、特定技能の申請をすれば働いてもらえる」
という単純な制度ではありません。
外国人本人だけでなく、受入企業にも満たすべき基準があります。
さらに、特定技能1号では外国人への支援、入管への届出、分野ごとの追加要件などもあるため、採用前から制度全体を確認することが重要です。
出入国在留管理庁も特定技能について最新の運用要領や申請・届出様式を公開しており、2026年8月にも内容が更新されています。実際に受け入れる場合には、その時点の最新情報を確認する必要があります。
特定技能が作られた理由
日本では、少子高齢化などを背景として、多くの業界で人材確保が課題となっています。
特に、国内だけでは十分な人材を確保することが難しい産業があります。
そこで、一定の技能を持つ外国人に即戦力として働いてもらうために設けられたのが特定技能制度です。
特定技能1号では「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」、特定技能2号では、さらに高い「熟練した技能」が求められます。
つまり、外国人であれば誰でも特定技能として採用できる制度ではありません。
対象となる仕事と外国人本人の技能などが制度の基準に合っている必要があります。
特定技能には1号と2号がある
特定技能には、
・特定技能1号
・特定技能2号
があります。
特定技能1号は、特定産業分野で相当程度の知識や経験を必要とする技能を持つ外国人を対象としています。
一方、特定技能2号は、熟練した技能を持つ外国人を対象としています。
単純に「1号で数年間働けば自動的に2号になる」という制度ではありません。
2号へ移行するためには、対象となる分野で必要な技能水準などを満たす必要があります。
特定技能1号は原則として通算5年が上限
特定技能1号で日本に在留できる期間は、原則として通算5年以内です。
現在の制度では、法務大臣が個々に指定する期間について、3年を超えない範囲で在留期間が付与されます。
一定の場合には通算在留期間の例外もありますが、基本的には5年間という上限を意識する必要があります。
企業側も、
「採用した外国人に何年間働いてもらえるのか」
を確認したうえで採用計画を立てることが重要です。
すでに別の会社で特定技能1号として働いた経験がある外国人を中途採用する場合には、残りの在留可能期間にも注意しましょう。
特定技能1号は家族帯同が基本的に認められない
特定技能1号では、配偶者や子どもを「家族滞在」で呼び寄せることは基本的に認められていません。
一方、特定技能2号では一定の要件を満たせば配偶者や子どもの帯同が可能です。
外国人本人にとっては、日本で長期間働くかどうかを決めるうえで重要な違いです。
採用する企業側も制度を理解し、本人に誤解がないよう説明しておくことが望ましいでしょう。
特定技能1号では生活支援も必要になる
特定技能1号の大きな特徴が、外国人への支援です。
企業は外国人を雇用するだけではなく、日本で安定して生活・就労できるよう、一定の支援を行う必要があります。
そのため、受入企業は「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、必要な支援を実施します。
自社で支援体制を整えることが難しい場合には、登録支援機関へ支援を委託する方法もあります。
特定技能を初めて受け入れる企業では、
「採用とビザ申請だけ行政書士へ依頼すれば終わり」
と思われていることがあります。
しかし、実際には許可後の支援や届出まで含めた運用体制を考える必要があります。
特定技能は原則として雇用契約を締結して働く
特定技能外国人は、受入企業との特定技能雇用契約に基づいて働きます。
雇用条件にも基準があり、外国人だからという理由で日本人より不当に低い給与を設定することはできません。
報酬額については、その外国人が従事する業務に日本人が従事する場合の報酬額と同等以上であることなどが求められます。
つまり、
「外国人なら安い人件費で雇える」
という考え方で利用する制度ではありません。
行政書士から見た実務上のポイント
特定技能について企業から相談を受ける場合、最初に確認したいのは、
「外国人が試験に合格しているか」
だけではありません。
実務では、
「会社の事業が対象分野に該当するか」
「外国人に担当させる仕事が対象業務に該当するか」
「外国人本人が必要な技能・日本語要件を満たしているか」
「給与などの雇用条件に問題がないか」
「企業側が受入れ要件を満たしているか」
「支援を自社で行うのか登録支援機関へ委託するのか」
まで確認します。
外国人本人の要件だけでなく、「会社・仕事・外国人」の3つをセットで確認することが重要です。
2. 特定技能1号・2号の違いと対象分野
特定技能には1号と2号がありますが、求められる技能水準や在留できる期間、家族帯同などに違いがあります。
企業が外国人を採用する場合には、どちらの在留資格に該当するのかを正しく理解しておきましょう。
特定技能1号とは
特定技能1号は、対象となる産業分野で「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を持つ外国人のための在留資格です。
技能水準や日本語能力は、原則として試験などによって確認されます。
ただし、技能実習2号を良好に修了した外国人については、一定の場合に試験が免除されます。日本語試験は原則免除となり、技能実習の職種・作業と特定技能で従事する業務との関連性が認められる場合には技能試験も免除されます。
特定技能2号とは
特定技能2号は、対象分野で「熟練した技能」を必要とする業務に従事する外国人を対象としています。
1号よりも高い技能水準が求められます。
特定技能2号には在留期間更新回数の上限がなく、要件を満たせば配偶者や子どもの帯同も可能です。
そのため、外国人本人にとっても、日本で長期的に働くうえで重要な在留資格となります。
1号と2号では支援義務にも違いがある
特定技能1号では、受入企業による支援が制度上重要になります。
一方、特定技能2号は1号と同じ支援制度の対象ではありません。
企業が1号外国人を採用する場合には、
「仕事を与えて給与を払えばよい」
というわけではなく、生活面を含めた支援体制まで準備する必要があります。
この点は1号と2号の大きな違いです。
特定技能の対象分野
特定技能は、どの業界でも利用できるわけではありません。
人材を確保することが困難な特定産業分野が対象となります。
制度創設後も対象分野は拡大・再編されており、2024年には自動車運送業、鉄道、林業、木材産業などが追加されました。その後も2026年にはリネンサプライ分野の制度運用が開始されるなど、制度は継続的に変更されています。
そのため、以前の記事に掲載された「特定技能は12分野」「16分野」といった情報をそのまま使うのは危険です。
採用時点で出入国在留管理庁が公表している最新の対象分野を確認しましょう。
分野が同じでもどの仕事でもできるわけではない
ここは企業側が特に間違えやすいポイントです。
例えば会社自体が特定技能の対象分野に関係していても、外国人に担当させる仕事が制度上認められた業務でなければ、特定技能として働かせることはできません。
出入国在留管理庁も、各分野で従事できる具体的な業務について、分野ごとの運用要領を確認するよう案内しています。
したがって、
「当社は建設会社だから特定技能を採用できる」
ではなく、
「当社で外国人に担当してもらうこの仕事は、建設分野の対象業務に該当するか」
まで確認する必要があります。
分野によって追加要件がある
特定技能では、入管法上の共通ルールだけを確認すればよいわけではありません。
建設、介護、外食業、製造業など、各分野で独自の基準や手続きが設けられています。
例えば、分野によっては協議会への加入、所管省庁への手続き、受入れに関する追加条件などがあります。
制度改正も頻繁に行われています。
2026年にも複数分野で運用要領や基準の改正が行われているため、実際の申請では必ず最新の分野別要領を確認することが重要です。
行政書士から見た実務上のポイント
特定技能では、
「外国人が特定技能試験に合格した」
という事実だけで採用を決めるのは早い場合があります。
例えば外食業の試験に合格していても、企業で担当させたい仕事が外食業分野の対象業務に当てはまらなければ、そのまま特定技能として雇用できるとは限りません。
採用面接の段階で、
「どの分野・業務区分で申請するのか」
「実際にどの仕事を担当してもらうのか」
まで確認することが重要です。
3. 特定技能外国人を受け入れる企業の主な要件
特定技能では、外国人本人だけではなく、受入企業にも要件があります。
制度上、特定技能外国人を受け入れる企業などを「特定技能所属機関」といいます。
外国人本人が試験に合格していても、企業側が要件を満たしていなければ適切に受け入れることはできません。
労働関係法令などを守っていること
受入企業には、労働関係法令、社会保険関係法令、租税関係法令などを適切に守っていることが求められます。
例えば、
・賃金を適切に支払っている
・労働時間を適切に管理している
・必要な社会保険に加入している
・税金を適切に納付している
といった基本的な法令遵守が重要です。
出入国在留管理庁の受入機関向け資料でも、労働・社会保険・租税関係法令を遵守していることなどが受入れの条件として示されています。
適切な特定技能雇用契約を締結する
外国人との雇用契約も、自由に決めてよいわけではありません。
例えば、報酬については、日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上であることが必要です。
外国人であることを理由として、
「日本人なら月給25万円だが、外国人なので18万円」
といった不合理な待遇にすることは認められません。
また、労働時間、休日、社会保険などについても適切な労働条件を設定する必要があります。
非自発的離職者を発生させていないか確認する
特定技能外国人を受け入れるため、日本人などの従業員を会社都合で退職させ、その代わりに外国人を雇用するような運用は制度の趣旨に反します。
一定期間内に、受入れに関係する非自発的離職者を発生させている場合には注意が必要です。
また、外国人の行方不明者を発生させている場合なども、受入企業の適格性に関係します。
過去の法令違反にも注意する
一定期間内に出入国関係法令や労働関係法令に関する違反がある場合、特定技能外国人を受け入れられないことがあります。
「今回採用する外国人との契約だけ問題なければよい」
というわけではありません。
企業自身の過去の労務管理や外国人雇用の状況も確認する必要があります。
特定技能1号では支援体制を整える
特定技能1号外国人を受け入れる場合には、外国人が日本で安定して生活・就労できるよう支援する必要があります。
企業が自社で必要な支援体制を整える方法と、登録支援機関へ支援を委託する方法があります。
初めて外国人を採用する企業では、
「日本語を話せる社員が一人いるから大丈夫」
と考えることがあります。
しかし、特定技能1号の支援には具体的な内容や実施方法が定められているため、単に相談できる社員がいれば十分とは限りません。
支援内容については第6章で詳しく解説します。
分野独自の企業要件を確認する
特定技能では、企業に関する共通要件に加えて、分野ごとの条件があります。
例えば建設分野では、建設分野特有の基準が定められており、2026年6月にも関連基準の改正が公布されています。
そのため、
「別の会社で特定技能外国人を雇っているから、当社も同じ手続きをすればよい」
とは限りません。
業種が違えば必要な手続きも異なる可能性があります。
外国人を受け入れた後も届出が必要
特定技能では、在留資格が許可されたら企業側の手続きがすべて終わるわけではありません。
受入れ後にも、特定技能所属機関として必要な届出があります。
契約内容や受入状況などに変更があった場合にも、届出が必要になることがあります。
出入国在留管理庁では2026年にも定期届出に関する資料や申請・届出様式を更新しています。
採用時だけでなく、雇用期間中の管理まで含めて制度を理解する必要があります。
行政書士から見た実務上のポイント
企業から、
「採用したい外国人が特定技能試験に合格しました。申請をお願いします」
と相談を受けた場合でも、すぐ申請書を作成できるとは限りません。
まず、
「企業側に法令違反などの問題がないか」
「雇用条件は適切か」
「対象業務に従事させる予定か」
「分野独自の条件を満たしているか」
「支援体制をどうするか」
を確認する必要があります。
外国人本人の資格確認だけでなく、企業側の受入体制を事前にチェックすることが重要です。
4. 特定技能外国人本人が満たすべき条件
企業側の要件を満たしていても、外国人本人が特定技能の条件を満たしていなければ在留資格は認められません。
特に特定技能1号では、技能水準と日本語能力が重要です。
必要な技能水準を満たす
特定技能1号では、対象分野で働くために必要な「相当程度の知識又は経験」を持っていることが求められます。
原則として、分野ごとに実施される技能試験などによって確認されます。
例えば、外食業で働く外国人と建設業で働く外国人では、必要となる試験が異なります。
そのため、
「特定技能の試験に合格している」
だけでなく、
「今回担当する分野・業務に対応した試験に合格しているか」
まで確認しましょう。
必要な日本語能力を満たす
特定技能1号では、日常生活や業務に必要な日本語能力も求められます。
分野によって詳細は異なりますが、国際交流基金日本語基礎テストや日本語能力試験などによって能力を確認する仕組みがあります。
一部の分野では、一般的な日本語試験に加えて、分野固有の日本語能力に関する試験が必要になる場合もあります。
採用前に対象分野の要件を確認することが重要です。
技能実習2号から移行できる場合がある
技能実習2号を良好に修了した外国人については、一定の条件を満たせば特定技能1号へ移行できます。
この場合、日本語試験については原則として免除され、技能実習の職種・作業と特定技能で従事する業務に関連性が認められれば、技能試験についても免除されます。
ここで注意したいのが、
「技能実習2号を修了すれば、どの特定技能分野へでも無試験で移行できる」
わけではないことです。
技能試験免除については、技能実習で行っていた職種・作業と、特定技能で行う業務との関連性を確認する必要があります。
年齢などの基本条件を確認する
特定技能外国人については、一定の年齢以上であることなど、制度上の基本的な条件があります。
また、健康状態や過去の在留状況など、在留資格申請に関係する事項についても確認が必要です。
すでに日本に住んでいる外国人の場合には、
・現在の在留資格
・在留期限
・これまで行っていた活動
・資格外活動の状況
なども確認します。
留学生から特定技能へ変更する場合
日本の大学や専門学校、日本語学校などに在籍する留学生が、卒業後に特定技能として就職するケースもあります。
この場合、必要な技能試験や日本語能力の条件を満たしたうえで、在留資格変更許可申請を行います。
注意したいのが、留学中の在留状況です。
例えば資格外活動許可の範囲を超えてアルバイトをしていた場合など、過去の在留状況が審査に影響する可能性があります。
「試験に合格したから必ず特定技能へ変更できる」と考えないようにしましょう。
転職する場合にも手続きが必要
特定技能外国人が別の企業へ転職する場合にも注意が必要です。
転職先の企業が受入要件を満たしているか、仕事内容が対象業務に該当するかなどを改めて確認します。
特定技能の在留資格を持っているからといって、対象分野の企業へ自由に転職し、何の手続きもなく働き始めてよいわけではありません。
企業が特定技能外国人を中途採用する場合には、
「すでに特定技能だから大丈夫」
と判断せず、現在の在留資格や指定されている活動内容などを確認しましょう。
特定技能1号の残りの在留期間を確認する
すでに特定技能1号として日本で働いている外国人を採用する場合には、通算在留期間にも注意が必要です。
特定技能1号は原則として通算5年が上限です。
例えば、他社ですでに4年間働いている外国人を採用した場合、原則として残りの期間を意識する必要があります。
長期雇用を予定している企業では、将来的に特定技能2号へ移行できる分野なのかなども含めて採用計画を考えることが重要です。
本国側の手続きが必要になる場合もある
外国人の国籍によっては、日本側の在留資格手続きとは別に、本国政府との間で定められた手続きが必要になる場合があります。
特定技能では、日本が複数の国と協力覚書を作成しており、国によって送出しに関する手続きが異なる場合があります。
海外から外国人を採用する場合には、日本の入管手続きだけを確認するのではなく、外国人本人の国籍に応じた手続きも確認しましょう。
行政書士から見た実務上のポイント
特定技能外国人を採用する際には、面接の段階で在留資格関係の資料を確認しておくことをおすすめします。
特に、
・現在の在留カード
・在留期限
・技能試験の合格状況
・日本語試験の合格状況
・技能実習を修了している場合はその内容
・これまでの勤務先
・特定技能1号としての在留期間
などです。
採用を決定して雇用契約まで締結した後に、
「予定していた分野では試験免除にならなかった」
「特定技能1号の残り期間がほとんどなかった」
「担当させたい仕事が対象業務ではなかった」
と判明すると、企業側にも外国人本人にも大きな負担になります。
特定技能では、「採用してからビザを確認する」のではなく、「採用前に在留資格上働けるかを確認する」という順番が重要です。
5. 特定技能外国人を受け入れるために必要な手続き
特定技能外国人を受け入れる場合、企業が外国人と雇用契約を締結し、入管へ申請するだけではありません。
外国人本人の要件確認、企業側の受入要件、雇用条件、支援計画、分野ごとの手続きなどを順番に進める必要があります。
特に初めて特定技能外国人を採用する企業では、
「内定を出した後に必要な手続きがわかった」
というケースに注意が必要です。
採用前から全体の流れを確認しておきましょう。
①外国人本人の要件を確認する
まず、採用予定の外国人が特定技能の要件を満たしているか確認します。
主に、
・どの特定技能分野で働く予定なのか
・必要な技能試験に合格しているか
・必要な日本語能力を満たしているか
・技能実習から移行する場合は試験免除の対象になるか
・現在の在留資格と在留期限
・特定技能1号としての過去の在留期間
などを確認します。
採用後に要件を満たしていないことが判明すると、予定していた時期から勤務できない可能性があります。
②企業側の受入要件を確認する
次に、受入企業が特定技能所属機関としての要件を満たしているか確認します。
労働関係法令、社会保険関係法令、租税関係法令などの遵守状況も重要です。
さらに、分野によって独自の基準があります。
そのため、
「以前、別の在留資格の外国人を雇用したことがある」
という企業でも、そのまま特定技能外国人を受け入れられるとは限りません。
③外国人が担当する仕事内容を確認する
特定技能では、対象分野に該当する企業だからといって、外国人にどのような仕事でも担当させられるわけではありません。
実際に担当する業務が、その特定技能分野で認められている業務に該当する必要があります。
例えば建設会社が特定技能外国人を採用する場合でも、
「建設会社だから問題ない」
と判断するのではなく、本人に担当させる具体的な作業まで確認します。
求人票を作成する段階で、在留資格上の業務範囲を確認しておくことが重要です。
④特定技能雇用契約を締結する
外国人本人と受入企業の双方に問題がなければ、雇用条件を決定して特定技能雇用契約を締結します。
給与については、日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上であることなどが求められます。
また、労働時間や休日などについても適切な条件を設定します。
「外国人だから低い給与でよい」
という制度ではありません。
日本人従業員との待遇を比較しながら、合理的に説明できる雇用条件にすることが重要です。
⑤事前ガイダンスを実施する
特定技能1号外国人については、在留資格申請前に事前ガイダンスを行います。
事前ガイダンスでは、外国人本人が日本で働き始めた後に、
「聞いていた条件と違う」
というトラブルにならないよう、雇用条件や日本での生活などについて説明します。
外国人が十分に理解できる言語で説明することも重要です。
単に書類へ署名してもらえばよい手続きではありません。
⑥健康診断を受ける
特定技能の申請では、外国人本人の健康状態について確認するための資料も必要になります。
海外から来日する場合と、日本国内ですでに生活している外国人の場合では準備状況も異なります。
健康診断を申請直前まで後回しにすると、書類が揃わず申請予定日が遅れることがあります。
採用スケジュールを決める際には、健康診断などの準備期間も考えておきましょう。
⑦1号特定技能外国人支援計画を作成する
特定技能1号の場合には、外国人が日本で安定して生活・就労できるよう、支援計画を作成します。
企業自身で支援を行う場合には、自社が適切に支援を実施できる体制を整えなければなりません。
自社対応が難しい場合には、登録支援機関への委託を検討します。
支援計画については第6章で詳しく解説します。
⑧分野ごとの手続きを確認する
特定技能では、分野ごとに独自の制度があります。
所管省庁への手続きや協議会への加入など、分野によって確認すべき事項が異なります。
特に初めて受け入れる企業では、
「入管への申請書類は準備できたが、分野独自の手続きが終わっていない」
ということがないよう注意しましょう。
特定技能制度は改正も多いため、申請時点の最新ルールを確認することが重要です。
⑨在留資格の申請を行う
必要な準備が整ったら、外国人の状況に応じた在留資格申請を行います。
海外にいる外国人を日本へ呼び寄せる場合には、基本的に在留資格認定証明書交付申請を行います。
一方、日本にいる留学生や技能実習生などが特定技能へ移行する場合には、在留資格変更許可申請を行います。
すでに特定技能として働いている外国人が転職する場合も、必要な在留手続きを確認します。
⑩許可後に就労を開始する
申請が許可された後、認められた範囲で特定技能として就労を開始します。
ここで注意したいのが、
「雇用契約を締結したから、申請中でも特定技能として働ける」
とは限らないことです。
現在の在留資格で認められている活動範囲を確認せず、先に勤務を開始させることは避けましょう。
⑪受入れ後の届出・支援を行う
特定技能では、外国人が働き始めた後も企業側の対応が続きます。
必要な支援を実施し、受入状況や契約内容などについて必要な届出を行います。
雇用契約の変更、退職などがあった場合にも、所定の手続きが必要になることがあります。
特定技能は、
「ビザが取れたら終了」
ではなく、
「受入れ後の管理まで含めた制度」
と理解しておくことが重要です。
行政書士から見た実務上のポイント
特定技能の受入れでは、外国人の入社希望日から逆算して手続きを進めることが重要です。
例えば、
「来月から働いてもらいたい」
と採用を決めても、技能試験、健康診断、支援計画、分野別手続き、在留資格申請などが終わっていなければ、予定どおり勤務できないことがあります。
特に海外から採用する場合には、日本側だけでなく本国側の手続きが必要になる場合もあります。
採用面接の段階で、
「いつから働けるのか」
「それまでに何の手続きが必要なのか」
を確認しておくことをおすすめします。
6. 特定技能1号で必要となる支援内容と登録支援機関
特定技能1号の大きな特徴の一つが、外国人に対する支援です。
受入企業は、1号特定技能外国人が日本で安定して働き、生活できるように支援する必要があります。
「仕事の指導は会社で行うので、それ以外は本人に任せる」
という対応では不十分です。
法律上求められる支援内容を確認し、適切に実施する必要があります。
1号特定技能外国人支援計画とは
受入企業は、特定技能1号外国人について「1号特定技能外国人支援計画」を作成します。
この計画では、外国人が日本で生活・就労するうえで必要となる支援内容を定めます。
支援計画は形式的に作成するだけではなく、実際に計画に沿って支援を行うことが重要です。
また、外国人が十分に理解できる言語で支援を行う必要がある場面もあります。
事前ガイダンス
雇用契約を締結した後、在留資格申請前に事前ガイダンスを実施します。
例えば、
・労働条件
・日本で行う仕事内容
・入国や在留に必要な手続き
・保証金や違約金などに関する事項
・日本での生活に関する事項
などを説明します。
外国人本人が雇用条件や日本での生活を理解したうえで来日・就労できるようにするための重要な支援です。
出入国する際の送迎
外国人が入国する際には、一定の範囲で空港などから住居や勤務先への送迎を行います。
帰国する場合にも必要な対応があります。
企業側では、
「空港まで迎えに行く必要があるとは知らなかった」
ということもあります。
海外から初めて特定技能外国人を受け入れる場合には、入国日までに担当者を決めておきましょう。
住居確保・生活に必要な契約の支援
外国人が日本で生活するためには住居が必要です。
しかし、外国人本人だけでは賃貸住宅を契約することが難しい場合があります。
そのため、受入企業側で住居確保の支援を行います。
また、
・銀行口座
・携帯電話
・電気
・ガス
・水道
など、日本で生活するために必要な契約についても支援が必要になります。
生活オリエンテーション
日本での生活ルールについて説明することも支援の一つです。
例えば、
・交通ルール
・ごみの出し方
・公共交通機関の利用方法
・医療機関の利用方法
・災害時の対応
・行政手続き
などです。
日本人にとって当たり前のルールでも、初めて日本で生活する外国人にはわからないことがあります。
特にごみ出しや騒音などの生活ルールは、地域住民とのトラブルにつながることもあります。
公的手続きへの同行など
外国人が日本で生活を始める際には、市区町村などでさまざまな手続きが必要です。
必要に応じて手続きに関する情報を提供したり、同行したりするなどの支援を行います。
外国人本人が日本語で行政手続きを行うことが難しい場合には、実務上非常に重要な支援になります。
日本語学習の機会を提供する
特定技能1号外国人については、日本語を学習する機会を提供するための支援も必要です。
例えば、
・地域の日本語教室を案内する
・オンライン学習サービスを紹介する
・日本語学習教材に関する情報を提供する
などが考えられます。
採用時に日本語試験へ合格していても、実際の職場や生活ではさらに高い日本語能力が必要になることがあります。
相談・苦情への対応
外国人が仕事や日本での生活について困った場合に、相談できる体制を整えます。
例えば、
「上司との意思疎通がうまくいかない」
「給与明細の見方がわからない」
「病院へ行きたい」
「近所とのトラブルがある」
といった相談です。
相談を受けるだけではなく、内容に応じて必要な助言や対応を行います。
日本人との交流を促進する
外国人が地域社会で孤立しないよう、日本人との交流機会について支援することも求められます。
例えば地域の行事や交流イベントなどに関する情報提供が考えられます。
日本で長く働いてもらうためには、職場だけでなく生活環境への定着も重要です。
転職支援が必要になる場合もある
受入企業側の都合によって雇用契約を継続できなくなった場合には、転職先を探すための支援などが必要になることがあります。
例えば会社の経営状況が悪化し、事業を縮小するケースです。
「退職したら会社の責任は終わり」
とは限らない点に注意しましょう。
定期的な面談を行う
特定技能1号では、外国人本人やその監督をする立場の者などとの定期的な面談も重要な支援です。
面談によって、
「雇用契約どおりに働けているか」
「困っていることはないか」
「生活上の問題はないか」
などを確認します。
問題がある場合には、必要な対応につなげます。
登録支援機関とは
登録支援機関とは、特定技能1号外国人への支援を受入企業から委託されて実施する機関です。
受入企業が自社で支援を実施することが難しい場合には、登録支援機関へ委託することができます。
初めて外国人を受け入れる企業や、外国語対応ができる担当者がいない企業では、登録支援機関への委託を検討するケースが多くあります。
自社支援と登録支援機関への委託のどちらがよいか
必ず登録支援機関へ委託しなければならないわけではありません。
自社で必要な支援体制を整えられる場合には、自社で支援を行うことも可能です。
ただし、
「費用を抑えたいから自社支援にする」
という理由だけで判断するのはおすすめできません。
外国人が理解できる言語での対応、相談体制、定期面談、各種生活支援などを継続的に実施できるかを確認する必要があります。
行政書士から見た実務上のポイント
特定技能1号で企業が負担を感じやすいのは、入管申請そのものより、許可後の継続的な支援であることも少なくありません。
特に初めて外国人を受け入れる企業では、
「誰が空港へ迎えに行くのか」
「住居をどうするのか」
「外国語で相談を受けられるのか」
「定期面談を誰が行うのか」
といった実務まで事前に決めておく必要があります。
自社で対応できる範囲を確認したうえで、難しい部分が多い場合には登録支援機関への委託を検討しましょう。
7. 特定技能外国人の受入れでよくある失敗例と注意点
特定技能制度は、人手不足に悩む企業にとって有効な外国人雇用制度の一つです。
一方で、通常の日本人採用と同じ感覚で進めると、在留資格や支援、届出などで問題が発生する可能性があります。
ここでは、特定技能外国人を受け入れる際によくある失敗と注意点を解説します。
「試験に合格しているから採用できる」と判断する
特定技能で最も注意したいのが、外国人本人の試験合格だけで採用できると判断することです。
試験に合格していても、
・企業が受入要件を満たしているか
・担当業務が対象になっているか
・雇用条件が適切か
・分野独自の要件を満たしているか
などを確認する必要があります。
外国人本人と企業側の両方を確認して初めて、具体的な申請準備へ進めます。
在留カードだけを見て採用する
すでに日本にいる外国人を中途採用する場合、
「在留カードに特定技能と書いてあるから働ける」
と判断するのは危険です。
特定技能では、分野や活動内容を確認する必要があります。
現在の勤務先で認められている仕事と、転職先で担当する仕事が同じとは限りません。
採用前に在留カードだけでなく、指定書など必要な資料を確認しましょう。
業務範囲を確認せずに仕事を任せる
企業が特定技能の対象業種であっても、外国人にどの仕事でも任せられるわけではありません。
実際の業務が特定技能で認められている範囲に入っているか確認する必要があります。
特に複数事業を行っている会社では注意が必要です。
「人手が足りないから今日は別部門で働いてもらう」
という運用が、在留資格上問題になる可能性もあります。
日本人より低い給与を設定する
「外国人だから給与を低く設定できる」という考え方は誤りです。
特定技能外国人の報酬は、日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上であることなどが求められます。
基本給だけを見るのではなく、業務内容、経験、各種手当なども含めて雇用条件を整理することが重要です。
支援を登録支援機関へ丸投げする
登録支援機関へ支援を委託した場合でも、
「外国人のことはすべて登録支援機関に任せたので、会社は何もしなくてよい」
というわけではありません。
実際に外国人を雇用し、日々指揮命令を行うのは受入企業です。
職場内でのコミュニケーションや労働環境など、会社自身が対応すべき問題もあります。
登録支援機関と受入企業の役割を明確にしておきましょう。
届出を忘れる
特定技能では、受入れ後にも各種届出があります。
雇用契約の変更や終了、支援に関する変更など、一定の事項が発生した場合には手続きが必要になることがあります。
担当者が退職したことで、
「誰も届出が必要だと知らなかった」
という状態にならないよう、社内で管理担当者を決めておくことが重要です。
在留期限を会社側で管理していない
在留期間の更新は外国人本人に関係する手続きですが、企業側も在留期限を管理しておくことをおすすめします。
本人任せにしていると、更新時期を失念するリスクがあります。
在留期限が切れた外国人をそのまま雇用することがないよう、
「誰が」
「いつ」
「どの外国人の在留期限を確認するのか」
を社内で決めておきましょう。
特定技能1号の通算期間を確認していない
特定技能1号は原則として通算5年が上限です。
中途採用では、以前の勤務先で特定技能1号として在留していた期間も考える必要があります。
例えば長期間働いてもらうつもりで採用した後、
「特定技能1号として残された期間が短かった」
とわかれば、人員計画にも影響します。
採用時に必ず確認しましょう。
外国人との認識違いが起きる
実務では、ビザ手続きよりも入社後のコミュニケーションが問題になることがあります。
例えば、
「残業がこれほどあるとは思わなかった」
「寮費について理解していなかった」
「仕事内容が母国で聞いていた説明と違う」
といったケースです。
外国人本人が理解できる言語で雇用条件を説明し、認識を合わせておくことが重要です。
パスポートや在留カードを会社で預かる
外国人の退職や転職を防ぐ目的で、
「パスポートや在留カードを会社で保管する」
といった対応をしてはいけません。
また、本人や家族から保証金を徴収したり、不当に高額な違約金を設定したりすることも問題になります。
外国人が自由意思に基づいて働ける環境を整えることが重要です。
安さだけで登録支援機関を選ぶ
登録支援機関によって、対応言語、対応地域、支援方法、費用、経験などが異なります。
月額費用だけで選ぶと、
「必要なときに連絡が取れない」
「外国人本人との意思疎通が十分できない」
「企業側が想定していた支援内容と違った」
という問題が起こる可能性があります。
契約前に、
「どこまで対応してくれるのか」
を具体的に確認しましょう。
行政書士から見た実務上のポイント
特定技能で企業側が意識したいのは、
「ビザが取れるか」
だけではありません。
重要なのは、
「適法に採用し、その状態を継続して管理できるか」
ということです。
採用前には外国人本人の試験や在留資格、企業の要件、仕事内容を確認する。
採用時には雇用条件と支援体制を整える。
採用後には在留期限、届出、支援状況を管理する。
この流れを社内で仕組み化しておくことで、担当者の知識や記憶だけに依存するリスクを減らせます。
特に複数の特定技能外国人を受け入れる企業では、在留期限、分野、雇用契約、支援状況などを一覧で管理できるようにしておくことをおすすめします。
8. 技能実習・技人国との違いと在留資格変更のポイント
外国人雇用では、「特定技能」「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」が混同されることがあります。
しかし、それぞれ制度の目的や対象業務、在留期間、転職の考え方などが異なります。
企業側が制度を混同すると、本人に任せる仕事や必要な手続きを誤る可能性があるため注意が必要です。
特定技能と技能実習の違い
技能実習は、技能等の移転を通じた国際協力を目的として設けられてきた制度です。
一方、特定技能は、人材確保が困難な一定の産業分野で、一定の技能を持つ外国人材を受け入れるための在留資格です。
つまり、制度の目的そのものが異なります。
企業側から見ると、
「どちらも外国人が現場で働く制度」
と見えることがありますが、同じものではありません。
なお、技能実習制度については育成就労制度への移行が予定されており、今後制度内容が大きく変わる可能性があります。
実際に受入れを検討する際には、最新制度を確認することが重要です。
技能実習から特定技能へ移行できる場合がある
技能実習2号を良好に修了した外国人は、一定の場合に特定技能1号へ移行することができます。
この場合、技能実習で行っていた職種・作業と特定技能で従事する業務との関連性が認められれば、技能試験が免除されることがあります。
日本語試験についても、一定の場合には免除されます。
ただし、
「技能実習2号を修了したから、どの特定技能分野でも無試験で働ける」
というわけではありません。
技能実習で経験した仕事と、新しく特定技能で担当する業務との関係を確認する必要があります。
特定技能と技人国の違い
「技術・人文知識・国際業務」は、一般的に「技人国」と呼ばれる就労系在留資格です。
技人国では、自然科学や人文科学の知識、外国文化に基づく思考・感受性などを必要とする専門的な業務が対象となります。
例えば、
・システムエンジニア
・設計
・経理
・企画
・マーケティング
・通訳、翻訳
・海外営業
などが代表的です。
一方、特定技能は、特定産業分野で実際の現場業務に従事できる点が大きな特徴です。
例えば、外食業や農業、建設、製造などでは、特定技能制度によって対象業務に従事することができます。
「正社員なら技人国」というわけではない
企業側で特に多い誤解が、
「正社員として採用するなら技人国」
という考え方です。
在留資格は雇用形態だけで決まりません。
重要なのは、実際にどのような仕事を担当するのかです。
正社員であっても、主な仕事が特定技能の対象となる現場業務であれば、技人国ではなく特定技能を検討する場合があります。
反対に、特定技能の対象業界で働く外国人であっても、専門的な設計や企画などを担当する場合には、技人国を検討することがあります。
学歴・職歴の考え方も異なる
技人国では、本人の学歴や職歴と仕事内容との関連性が重要になる場合があります。
例えば大学などで学んだ専門分野と、就職後に担当する仕事との関係を確認します。
一方、特定技能では、原則として技能試験と日本語試験などによって必要な能力を確認します。
そのため、
「大学を卒業していないから外国人を正社員採用できない」
というわけではありません。
仕事内容によって特定技能を利用できる可能性があります。
転職の考え方にも違いがある
特定技能外国人も転職することは可能です。
ただし、新しい受入企業が要件を満たしているか、対象分野・業務に問題がないかなどを確認し、必要な在留手続きを行う必要があります。
技人国でも、転職後の仕事内容が現在の在留資格に該当するか確認することが重要です。
どちらも、
「在留カードを持っているから、どの会社でもそのまま働ける」
というわけではありません。
技人国から特定技能へ変更する場合
現在「技術・人文知識・国際業務」で働いている外国人が、特定技能の対象となる仕事へ転職する場合、在留資格変更許可申請を検討することがあります。
この場合、外国人本人が対象分野の技能・日本語要件を満たしているか、受入企業が要件を満たしているかを確認します。
変更許可を受ける前に、現在の在留資格では認められていない特定技能業務へ切り替えて働かせることは避けましょう。
留学から特定技能への変更も多い
日本で学ぶ留学生が卒業後に特定技能として就職するケースもあります。
この場合、
・技能試験
・日本語要件
・企業側の受入要件
・支援計画
などを確認し、「留学」から「特定技能」への在留資格変更許可申請を行います。
入社予定日から逆算して、早めに準備することが重要です。
行政書士から見た実務上のポイント
外国人を採用するときは、
「どのビザを取りたいか」
から考えない方がわかりやすい場合があります。
まず、
「この外国人に何の仕事をしてもらうのか」
を具体的に決めます。
そのうえで、
「その仕事は特定技能なのか」
「技人国なのか」
「別の在留資格なのか」
を判断します。
在留資格を先に決め、その資格に合わせて仕事内容を書き換えるのではなく、実際の仕事内容から適切な在留資格を選ぶことが重要です。
9. 山梨県で特定技能外国人を受け入れる際に行政書士へ依頼するメリット
山梨県でも、人手不足への対応として特定技能外国人の受入れを検討する企業があります。
農業、外食業、宿泊、製造、建設など、山梨県の産業と特定技能制度が関係する場面も少なくありません。
ただし、特定技能は外国人本人だけでなく企業側にも多くの要件がある制度です。
初めて受け入れる場合には、行政書士へ相談することで手続きを整理しやすくなります。
自社で特定技能を利用できるか確認できる
企業が最初に確認したいのは、
「当社は特定技能外国人を採用できますか?」
という点です。
行政書士へ相談することで、
・会社の事業内容
・外国人に担当させる仕事
・対象となる特定技能分野
・受入企業の要件
・外国人本人の要件
などを整理できます。
求人を出した後に制度上受け入れられないことが判明するリスクを減らすことにつながります。
外国人本人の要件を確認できる
採用予定者がすでに決まっている場合には、
・技能試験
・日本語試験
・技能実習歴
・現在の在留資格
・在留期限
・特定技能1号としての在留期間
などを確認できます。
特に技能実習から移行するケースでは、試験免除の対象になるかどうかを確認することが重要です。
分野ごとの手続きを整理できる
特定技能制度は、分野によって追加の要件や手続きがあります。
建設分野と外食分野では、必要となる手続きが同じとは限りません。
行政書士へ相談することで、入管への申請だけでなく、分野ごとに確認すべき手続きを整理しやすくなります。
特定技能雇用契約を確認できる
特定技能では、給与などの雇用条件について基準があります。
企業側で作成した雇用条件が制度上問題ないか確認し、必要書類との整合性を整理することができます。
例えば、
「求人票では月給25万円」
「雇用契約書では22万円」
「申請書では23万円」
といった不一致は避ける必要があります。
申請書類全体で内容が一致していることが重要です。
支援体制について相談できる
特定技能1号では、外国人に対する支援が必要です。
行政書士へ相談することで、
「自社で支援できるのか」
「登録支援機関へ委託した方がよいのか」
を整理できます。
自社支援を希望する場合には、必要な体制を整えられるか確認することが重要です。
登録支援機関と連携して手続きを進められる
特定技能の受入れでは、行政書士と登録支援機関がそれぞれ関係するケースがあります。
例えば、行政書士が在留資格申請を担当し、登録支援機関が外国人への生活支援を担当する形です。
それぞれの役割を明確にすることで、
「誰がこの手続きをするのかわからない」
という状態を防ぎやすくなります。
申請取次で企業・外国人の負担を軽減できる
申請取次に対応している行政書士であれば、一定の在留関係手続きについて申請を取り次ぐことができます。
企業担当者や外国人本人が入管手続きを進める負担を減らせる点は大きなメリットです。
特定技能では提出資料も多いため、初めて申請する企業ほど負担を感じやすい傾向があります。
採用後の変更や更新も相談できる
特定技能外国人を受け入れた後には、
・在留期間更新
・雇用条件の変更
・退職
・転職
・支援体制の変更
などが発生することがあります。
その都度、必要な届出や在留手続きを確認する必要があります。
継続して相談できる行政書士がいれば、採用後も管理しやすくなります。
山梨県の企業で特に意識したいこと
山梨県では、甲府市などの都市部だけでなく、農業や観光関連の事業者など、外国人材を受け入れる企業が広い地域に分散することがあります。
外国人本人にとっては、公共交通機関、住居、買い物、医療機関など、日本での生活環境も重要です。
特定技能1号では生活支援も必要になるため、
「働く場所は確保できたが、外国人が生活する場所を考えていなかった」
ということがないようにしましょう。
地方での外国人雇用では、在留資格だけでなく、住居や移動手段まで含めた受入環境を考えることが定着につながります。
行政書士から見た相談のタイミング
特定技能について行政書士へ相談するなら、外国人と雇用契約を締結した後よりも、採用を検討している段階がおすすめです。
特に、
・初めて特定技能外国人を採用する
・技能実習生を特定技能へ移行したい
・留学生を採用したい
・他社から特定技能外国人を転職で採用したい
・海外から直接採用したい
という場合には、早めに確認することで採用計画を立てやすくなります。
10. まとめ
特定技能は、人材確保が難しい特定産業分野において、一定の技能や日本語能力を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。
人手不足に悩む企業にとって重要な制度ですが、
「外国人を採用してビザを申請すれば終わり」
という制度ではありません。
特定技能外国人を受け入れる場合には、
・会社の事業が対象分野に該当するか
・外国人に担当させる業務が対象業務に該当するか
・外国人本人が技能要件を満たしているか
・日本語能力の要件を満たしているか
・企業が受入要件を満たしているか
・適切な雇用契約を締結しているか
・特定技能1号の支援体制を整えているか
・分野ごとの追加手続きを行っているか
などを確認する必要があります。
また、特定技能1号では原則として通算在留期間に上限があります。
中途採用する場合には、それまで特定技能1号として在留していた期間も確認しておくことが重要です。
技能実習から特定技能へ移行する場合には、一定の条件を満たすことで技能試験や日本語試験が免除されるケースがあります。
しかし、技能実習を修了すればすべての特定技能分野へ無試験で移行できるわけではありません。
特定技能で予定している業務との関連性を確認する必要があります。
また、「技術・人文知識・国際業務」との違いにも注意しましょう。
在留資格は、
「正社員かどうか」
ではなく、
「実際にどの仕事を担当するのか」
によって判断することが重要です。
実務では、
「試験に合格しているから採用できると思っていた」
「企業側にも要件があることを知らなかった」
「特定技能1号の支援まで必要とは思っていなかった」
「現在の特定技能の分野と転職先の仕事が合っていなかった」
「採用後の届出を忘れていた」
といったケースに注意が必要です。
特定技能は採用前、採用時、採用後のすべての段階で適切な管理が求められます。
そのため、企業では、
「在留資格の申請担当者」
だけではなく、
「外国人雇用全体を管理する担当者」
を決めておくことをおすすめします。
山梨県・甲府市で特定技能外国人の採用を検討している企業も、まずは自社が対象分野に該当するか、外国人にどの仕事を担当してもらうのかを整理しましょう。
そのうえで、外国人本人と企業双方の要件を確認することが重要です。
「初めて特定技能外国人を採用したい」
「技能実習から特定技能へ移行させたい」
「留学生を特定技能で採用したい」
「登録支援機関へ委託すべきかわからない」
「特定技能の申請や届出をまとめて相談したい」
このようなお悩みがある場合は、行政書士へご相談ください。
採用予定の外国人、担当業務、企業の状況、支援体制などを確認し、必要な在留資格申請や受入れ手続きを整理することで、適切な特定技能外国人の雇用につながります。


