【農地法4条許可】自分の農地を農地転用する条件・必要書類を解説

▼目次
1. 農地法4条許可とは?自分の農地を転用するときの手続き
農地法4条とは、自分が所有している農地を、農地以外の用途へ変更するときに必要となる手続きです。
農地を住宅用地や駐車場、資材置場などとして利用する場合、そのまま自由に用途を変更できるわけではありません。
農地は、食料生産の基盤として農地法によって保護されているため、原則として農地転用の許可を受ける必要があります。
たとえば、
・自分の畑に住宅を建てる
・使っていない農地を駐車場にする
・農地を資材置場として利用する
・農地に店舗や事務所を建てる
といった場合が農地法4条の代表的なケースです。
農林水産省も、農地で建築物を建設したり、駐車場や資材置場として利用したりする場合には、農地法に基づく許可または届出が必要としています。
農地法4条が対象となる「農地転用」とは
農地転用とは、農地を農地以外の用途へ変更することです。
単に建物を建てる場合だけではありません。
たとえば、畑を砂利敷きにして月極駐車場として使う場合や、建設会社が自社所有の農地を資材置場にする場合も農地転用に該当します。
代表的な転用目的としては、
・住宅
・店舗、事務所
・駐車場
・資材置場
・倉庫
・太陽光発電設備
などがあります。
「建物を建てなければ転用ではない」と思われることがありますが、これは誤解です。
農地として耕作できない状態にして、別の目的に利用するのであれば、農地転用に該当する可能性があります。
農地法4条と5条の違い
農地法4条と5条は混同されやすいですが、違いは農地の権利移転を伴うかどうかです。
自分が所有する農地を、自分自身で農地以外の用途へ変更する場合は、原則として農地法4条です。
一方、農地を他人へ売却・賃貸し、その人が住宅や駐車場などに転用する場合には、原則として農地法5条となります。
たとえば、父親が所有する畑を父親自身が駐車場にするのであれば4条です。
これに対して、父親の畑を子どもへ贈与し、子どもが住宅を建てる場合には、所有権移転と転用を伴うため、5条の検討が必要です。
実務では、「土地は家族のものだから4条だと思っていた」というケースもあります。
農地転用では、土地の所有者と実際に転用する人が誰なのかを最初に整理することが重要です。
許可と届出の違いにも注意する
農地法4条では、すべてのケースで「許可」が必要になるわけではありません。
市街化区域内にある農地を転用する場合には、原則として農業委員会への届出となります。
一方、市街化区域以外の農地については、原則として許可が必要です。
農林水産省の事務処理要領でも、市街化区域内の農地については、農地法4条に基づく届出書を農業委員会へ提出する手続きが定められています。
山梨県でも、市街化区域内の農地は事前届出、それ以外の農地は原則として転用許可という整理がされています。
そのため、「農地を転用する=必ず許可申請」というわけではありません。
まず対象農地がどの都市計画区域にあるのかを確認する必要があります。
2. 農地法4条許可が必要なケース・不要なケース
農地を農地以外の用途に変更する場合、基本的には農地法4条の手続きが必要です。
ただし、農地の所在地や転用目的などによっては、許可ではなく届出となる場合や、農地法上の許可が不要となる例外もあります。
そのため、最初に「自分の場合は4条許可なのか」を判断することが重要です。
自分の農地に住宅・駐車場などをつくる場合
自分が所有する農地を、自分自身で住宅や駐車場などに変更する場合は、代表的な4条転用です。
たとえば、
・自分の畑に自宅を建てる
・遊休農地を月極駐車場にする
・農地を自社の資材置場にする
・農地に事務所や倉庫を建てる
といった場合です。
この場合、所有権を別の人へ移すわけではないため、5条ではなく4条を検討します。
農地転用では、「土地の名義を変えるかどうか」と「農地以外の用途に変えるかどうか」を分けて考えると整理しやすくなります。
一時的な資材置場や仮設施設でも対象になることがある
農地転用は、永久的に農地をなくす場合だけではありません。
工事期間中だけ資材置場や仮設事務所などに利用する「一時転用」についても、農地法上の手続きが必要になる場合があります。
たとえば、建設工事の期間中だけ畑を資材置場として使用し、工事終了後に農地へ戻すケースです。
「数か月だけだから問題ない」と考えて無断で使用すると、違反転用になる可能性があります。
一時転用の場合には、利用期間や利用後に農地へ復元できるかといった点も重要になります。
特に建設会社などが農地を資材置場として利用する場合は、使用開始前に農業委員会へ確認することが重要です。
市街化区域内の農地は原則として届出
対象農地が市街化区域内にある場合、農地法4条の許可ではなく、原則として農業委員会への届出で転用することができます。
市街化区域とは、都市計画法上、すでに市街地を形成している区域や、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域です。
市街化が予定されている地域であるため、市街化区域外の農地と比べて農地転用の規制が緩やかになっています。
ただし、「市街化区域なら何も手続きしなくてよい」という意味ではありません。
転用前に農業委員会への届出が必要です。
農林水産省も、市街化区域内農地については、許可ではなく届出による転用手続きを定めています。
甲府市でも、市街化区域内の農地転用について4条・5条の届出案件が実際に処理されています。
農地法上の手続きが不要となる場合もある
農地転用には一定の例外があります。
たとえば、農業用施設を設置する場合など、条件によって許可が不要となるケースがあります。
ただし、「農業に関係する施設だから必ず許可不要」と判断するのは危険です。
施設の用途や面積、設置場所などによって扱いが変わるためです。
また、そもそも対象地が農地法上の「農地」に該当しない場合には、農地転用手続きが不要となることもあります。
一方で、登記簿の地目が宅地や雑種地であっても、現況が農地として利用されていれば、農地法上の農地と判断される可能性があります。
許可が必要かどうかを自己判断せず、現況と土地の区域区分を含めて農業委員会へ確認することが重要です。
3. 農地転用できる土地・できない土地の判断基準
農地転用は、どの農地でも自由に認められるわけではありません。
農地法では、優良な農地をできるだけ農地として残すため、農地の場所や営農条件などによって転用の可否を判断しています。
農地転用の許可では、大きく「立地基準」と「一般基準」の2つの観点から審査されます。
特に重要なのが、対象農地がどの農地区分に該当するかです。
山梨県でも、農地を農用地区域内農地、甲種農地、第1種農地、第2種農地、第3種農地などに区分して許可の可否を判断しています。
農用地区域内農地は原則として転用できない
農用地区域内農地とは、市町村が定める農業振興地域整備計画の中で、今後も農業のために利用していく土地として指定されている農地です。
一般に「農振農用地」や「青地」と呼ばれることがあります。
農用地区域内農地は、優良農地として確保する必要性が高いため、原則として農地転用は認められません。
住宅などへ転用したい場合には、農地法4条申請の前に「農振除外」と呼ばれる手続きが必要になることがあります。
ただし、農振除外を申請すれば必ず認められるわけではありません。
農用地区域から除外できる条件を満たしているか、別の土地で目的を達成できないかなどが確認されます。
実務では、農地転用の相談を受けた時点で、最初に農振農用地かどうかを確認することが非常に重要です。
甲種農地・第1種農地も原則として転用が難しい
農地法では、特に良好な営農条件を備えている農地について、転用を厳しく制限しています。
代表的なのが甲種農地と第1種農地です。
甲種農地には、市街化調整区域内で農業公共投資後一定期間内の農地などが含まれます。
第1種農地には、10ヘクタール以上のまとまった農地や、土地改良事業などの対象となった農地、生産力の高い農地などがあります。
山梨県では、甲種農地と第1種農地について原則不許可とし、農業用施設や一定の集落接続型の施設など、例外的な場合に転用が認められる仕組みとしています。
そのため、「自分の土地だから住宅を建てられる」とは限りません。
第2種農地は代替地がないか確認される
第2種農地とは、市街地化が見込まれる区域にある農地や、農業公共投資の対象となっていない小規模な農地などです。
第2種農地の場合、転用目的を他の土地で達成できないかという点が重要になります。
つまり、「なぜこの農地でなければならないのか」が判断材料になります。
たとえば、自宅を建てるために農地を転用したい場合でも、近隣に農地ではない適切な土地を所有しているのであれば、そちらを利用できないか確認されることがあります。
山梨県でも、第2種農地については、第3種農地など他の土地に立地することが困難な場合に許可するという考え方が示されています。
第3種農地は原則として転用が認められやすい
第3種農地は、市街地や都市的な整備が進んでいる区域にある農地です。
駅や住宅、店舗、公共施設などが近く、市街化が進んでいる農地が該当することがあります。
第3種農地は、農地として残す必要性が比較的低いため、原則として転用許可の対象となります。
ただし、第3種農地だから必ず許可されるわけではありません。
次に説明する一般基準を満たす必要があります。
そのため、農地区分だけを見て「ここなら確実に転用できる」と判断することはできません。
4. 農地法4条許可を受けるための主な条件
農地法4条許可では、対象農地が転用可能な区域にあるだけでは不十分です。
実際に計画どおり転用できるか、周辺農地に悪影響がないかなども審査されます。
これが「一般基準」と呼ばれる考え方です。
農地区分による立地基準と、転用計画の実現可能性を見る一般基準の両方を満たすことが、許可を受けるための基本となります。
転用目的が具体的で実現可能であること
まず重要なのが、転用目的が明確であることです。
たとえば、
「将来何かに使うため、とりあえず農地を造成したい」
という計画では、具体的な転用目的があるとは言いにくくなります。
農地転用許可制度では、具体的な転用目的を持たない投機目的や資産保有目的による転用を認めない考え方が取られています。
住宅であれば建築計画、駐車場であれば必要な台数や利用計画、資材置場であれば保管する資材や必要面積などを具体的に説明する必要があります。
単に「使っていない農地だから転用したい」という理由だけではなく、なぜ転用が必要なのかを整理することが大切です。
転用事業を実施できる資金があること
転用計画には、実際に事業を完成させられる資金が必要です。
住宅建築や駐車場整備、造成工事などには一定の費用がかかります。
そのため、申請では資金調達計画の確認が行われます。
山梨県の農地法4条許可申請書でも、「資金調達についての計画」を記載する欄が設けられています。
たとえば、総事業費が2,000万円かかる計画なのに、自己資金や融資の予定が確認できない場合には、事業の実現可能性について疑問が生じます。
金融機関から融資を受ける場合には、融資証明や残高証明などを求められるケースもあります。
転用に必要な他の許認可も見通しが立っていること
農地転用が認められても、住宅や店舗などを必ず建てられるとは限りません。
農地法以外にも、
都市計画法
建築基準法
道路法
農業振興地域制度
開発許可
など、別の法律や手続きが関係する場合があります。
たとえば、市街化調整区域内で住宅を建てる場合、農地転用許可だけでなく、都市計画法上の許可が必要になることがあります。
農地転用だけ先に許可されても、建物を建てられなければ転用目的を実現できません。
そのため、行政書士として確認する場合も、農地法だけではなく、関連する許認可を合わせて確認することが重要です。
周辺農地に被害を与えない計画であること
農地転用によって、周辺の農地に悪影響を与えないことも重要です。
たとえば、農地を盛土して駐車場にした結果、雨水が隣接する畑へ流れ込むようになれば、周辺農地に被害を与える可能性があります。
そのため、
排水をどのように処理するか
土砂が流出しないか
農業用水路を妨げないか
日照や通風に大きな影響がないか
などを確認します。
山梨県の4条許可申請書でも、「転用することによって生ずる付近の土地・作物・家畜等の被害防除施設の概要」を記載する欄があります。
実務では、住宅や駐車場などの配置だけでなく、排水計画や擁壁、出入口の位置などが問題になることがあります。
農地転用は「農地をやめる許可」だけではなく、転用後の利用によって周辺へ問題が生じないかまで確認される手続きです。
5. 農地法4条許可申請に必要な書類
農地法4条の許可申請では、申請書だけでなく、対象農地の位置や転用計画、資金計画などを確認するための複数の書類を提出します。
必要書類は転用目的や土地の状況、市町村によって異なります。
そのため、実際に申請する場合は、対象農地を管轄する農業委員会へ事前に確認してから準備することが重要です。
特に住宅、駐車場、資材置場などでは、土地利用計画や排水計画が審査上の重要なポイントになります。
農地法4条許可申請書
基本となる書類が、農地法第4条許可申請書です。
申請書には主に、
・申請者の住所・氏名・対象農地の所在地、地目、面積・転用目的・転用時期・施設の概要・資金調達計画・周辺農地への被害防除方法
などを記載します。
山梨県が公開している農地法4条許可申請書にも、土地の状況だけでなく、転用計画や資金調達、被害防除施設について記載する欄が設けられています。
実務では、「駐車場にする」「住宅を建てる」という目的だけではなく、どの範囲をどのように利用するのかまで具体的に整理することが重要です。
土地の登記事項証明書・公図・位置図など
対象農地を特定するため、土地の登記事項証明書や公図、位置図などを提出します。
登記事項証明書では、
現在の所有者
地番
地目
面積
抵当権などの権利関係
を確認します。
また、公図や位置図を使って、対象農地がどこにあるのか、周辺にどのような土地や道路があるのかを確認します。
農地転用では、土地そのものだけでなく、周辺環境も重要です。
たとえば、住宅地に囲まれた農地なのか、まとまった農地の中心にあるのかによって、転用の判断が変わることがあります。
そのため、地番だけでなく、実際の位置関係まで確認しておく必要があります。
土地利用計画図・配置図・排水計画など
農地法4条申請では、転用後の土地利用が具体的に分かる図面が重要です。
住宅であれば、
建物の位置
駐車スペース
進入路
排水経路
などを記載します。
駐車場であれば、駐車台数や出入口、舗装方法、雨水処理などを示します。
資材置場の場合も、どの範囲に何を置くのか、車両がどこから出入りするのかといった内容を整理します。
実務では、申請面積に対して転用計画が広すぎる、または狭すぎる場合に説明を求められることがあります。
たとえば、住宅1棟を建てるだけなのに必要以上に広い農地を転用しようとすると、「なぜこの面積が必要なのか」を確認される可能性があります。
転用する面積は、目的を実現するために必要な範囲で計画することが重要です。
資金証明やその他の追加書類
農地転用では、計画を実際に実行できることも審査されます。
そのため、工事費や建築費などを確認できる見積書や、資金を確保できることを示す資料を求められる場合があります。
たとえば、
自己資金で行う場合は残高証明
融資を受ける場合は融資証明や融資予定を確認できる資料
などです。
また、農振農用地の場合には農振除外関係の手続き、他法令の許可が必要な場合にはその進捗が分かる資料を求められることもあります。
申請書類は案件ごとに変わるため、行政書士として対応する場合も、最初に転用目的と土地の状況を確認し、必要書類を整理してから準備を進めます。
6. 農地法4条許可申請の流れ|事前相談から許可まで
農地法4条許可は、一般的に、
事前調査
農業委員会への相談
必要書類・図面の作成
申請
審査
許可
という流れで進みます。
農地転用では、単に書類を作成するだけでなく、「そもそも転用できる農地なのか」を最初に確認することが重要です。
転用が難しい農地で計画を進めてしまうと、住宅設計や工事契約まで進んだ後で計画を見直すことになりかねません。
まず農地区分や都市計画区域を確認する
最初に確認するのが、対象農地の立地条件です。
主に、
農振農用地か
甲種・第1種・第2種・第3種農地のどれに該当するか
市街化区域か
市街化調整区域か
といった点を確認します。
ここで、そもそも原則転用できない農地であることが分かる場合もあります。
たとえば、農振農用地であれば、原則として先に農振除外を検討する必要があります。
市街化区域であれば、許可申請ではなく届出で進められる可能性があります。
実務では、この初期調査で手続きの方向性がほぼ決まるため、最も重要な工程の一つです。
農業委員会へ事前相談する
農地区分などを確認したら、対象農地を管轄する農業委員会へ事前相談します。
この段階で、
4条許可の対象になるか
届出でよいか
農振除外が必要か
必要書類は何か
締切日はいつか
などを確認します。
特に住宅や資材置場などでは、農地法以外の許認可が関係する場合があります。
そのため、必要に応じて都市計画担当部署や建築担当部署などにも確認します。
農地法だけ許可されても、他法令によって計画を実行できなければ意味がありません。
必要書類・図面を作成して申請する
転用可能性を確認したら、申請書や添付資料を作成します。
農地法4条申請では、文章だけでなく図面が非常に重要です。
どこに建物を建てるのか、どこを駐車場にするのか、排水をどこへ流すのかなどを具体的に示します。
実務では、現地を確認せず図面だけで作成すると、
水路の位置が違う
出入口を予定した場所に段差がある
隣接農地との高低差が大きい
といった問題が後から判明することがあります。
そのため、申請前に現地確認を行い、計画と実際の土地の状況を合わせておくことが重要です。
農業委員会・許可権者による審査
申請後は、立地基準と一般基準を中心に審査されます。
確認される主な内容は、
転用可能な農地区分か
計画が実現可能か
必要な資金が確保されているか
周辺農地へ悪影響がないか
他法令の許認可に問題がないか
といった点です。
必要に応じて、農業委員会などによる現地確認が行われることもあります。
申請内容に不足があれば、補正や追加資料の提出を求められます。
そのため、当初から土地の状況と転用計画を具体的に整理しておくことで、審査をスムーズに進めやすくなります。
許可後に転用工事を開始する
農地転用は、原則として許可を受けてから工事を開始します。
「どうせ許可されるだろう」と考えて、先に造成したり砂利を敷いたりすることは避ける必要があります。
無許可で転用すると、違反転用として原状回復などを求められる可能性があります。
また、許可後も、申請した計画に従って転用を行う必要があります。
たとえば、住宅用地として許可を受けたにもかかわらず、実際には資材置場として利用すると、許可内容と異なる利用になります。
農地転用は、許可を取得して終わりではなく、許可された内容どおりに事業を実施することが重要です。
7. 農地法4条許可にかかる期間・費用
農地法4条許可を検討する際には、申請から許可までの期間と、必要となる費用を事前に把握しておくことが大切です。
特に住宅建築などでは、建築会社や金融機関とのスケジュールが決まっていることもあります。
農地転用の許可が遅れると、着工時期や融資実行時期にも影響するため、余裕を持って進める必要があります。
許可までの期間は案件によって異なる
農地法4条許可にかかる期間は、農地の区分や申請内容によって異なります。
一般的な案件では、申請後1か月から数か月程度を見込むことがあります。
ただし、
農振除外が必要
大規模な転用
他法令の許可が必要
追加資料や補正が発生する
といった場合は、さらに時間がかかります。
特に農振農用地の場合は、農地法4条申請の前に農振除外が必要になることがあり、この手続きだけで長期間を要することもあります。
そのため、「家を建てたいので来月から工事を始めたい」と相談しても、土地によっては難しい場合があります。
農地転用は、できるだけ早い段階で調査を始めることが重要です。
申請締切日から逆算して準備する
農地転用許可申請では、市町村ごとに申請受付の締切日が設定されていることがあります。
締切日を過ぎると翌月の審査に回るため、許可までの期間が1か月程度延びることがあります。
特に、
住宅メーカーとの契約日
建築確認申請
金融機関の融資
工事開始日
などが決まっている場合には注意が必要です。
農地法の手続きだけを見るのではなく、建築や融資を含めた全体のスケジュールを考えることが重要です。
行政書士へ相談する場合も、申請締切日の直前ではなく、計画段階で相談しておく方が手続きを組み立てやすくなります。
農地転用に伴う主な費用
農地法4条申請では、申請手続き以外にもさまざまな費用が発生することがあります。
たとえば、
・登記事項証明書や公図などの取得費用
・測量費用
・造成工事費
・排水工事費
・開発許可など関連手続きの費用
・土地の地目変更登記費用
などです。
農地を住宅用地へ変更した場合には、転用後に土地の地目を「畑」や「田」から「宅地」などへ変更する地目変更登記を行うことがあります。
また、農地転用によって固定資産税の評価が変わる可能性もあります。
単に行政手続きの費用だけではなく、転用後に発生する費用まで含めて資金計画を立てることが大切です。
行政書士へ依頼する場合の費用の考え方
行政書士へ農地法4条許可申請を依頼する場合の報酬は、案件の難易度によって異なります。
たとえば、
一般的な住宅への転用
駐車場への転用
資材置場への転用
農振除外を伴う案件
複数筆をまとめて転用する案件
などでは、必要な調査や書類作成の内容が異なります。
特に農地転用では、申請書の作成だけではなく、
農地区分の調査
農業委員会との事前協議
図面の確認
他法令の確認
などが重要になります。
行政書士へ依頼するメリットは、書類作成を任せられることだけではありません。
「この農地は転用できる可能性があるのか」「農振除外が必要なのか」「4条なのか5条なのか」といった入口の判断から確認できる点にあります。
農地転用は、住宅建築や事業計画を進めてから転用できないことが判明すると、設計費や契約費用などにも影響します。
そのため、山梨県・甲府市で農地転用を検討している場合は、具体的な建築計画や工事契約を進める前に、農業委員会や行政書士へ相談することをおすすめします。
8. 農地法4条許可が下りない主なケースと注意点
農地法4条の許可申請では、必要書類をそろえれば必ず許可されるわけではありません。
農地の場所や種類、転用目的、資金計画、周辺農地への影響などを総合的に確認したうえで判断されます。
特に注意したいのは、「自分の土地だから自由に使える」と考えて、転用できるか確認する前に工事や契約を進めてしまうことです。
農地には農地法による利用制限があるため、自己所有の土地であっても自由に宅地や駐車場へ変更できるとは限りません。
農振農用地や第1種農地など転用が難しい土地
農地転用が難しくなる代表的なケースが、優良農地として保全されている土地です。
たとえば、
・農用地区域内農地
・甲種農地
・第1種農地
などは、原則として転用が厳しく制限されています。
特に農振農用地の場合は、農地法4条許可の前に農用地区域から除外する「農振除外」が必要になることがあります。
ただし、農振除外を申請すれば必ず転用できるわけではありません。
また、第1種農地などについても、一定の例外に該当しなければ転用が認められない場合があります。
そのため、土地を見ただけで「周辺に家が建っているから自分の畑も転用できるだろう」と判断するのは危険です。
転用目的や必要性が明確でない
農地転用では、具体的な転用目的が必要です。
たとえば、
「将来使うかもしれないので、とりあえず砂利を敷きたい」
「いつか建物を建てるために造成だけしておきたい」
といった計画では、転用の必要性や実現性が十分ではないと判断される可能性があります。
山梨県の農地転用許可制度でも、具体的な転用目的を持たない投機目的や資産保有目的の転用は認めない考え方が示されています。
住宅であれば住宅建築、駐車場であれば必要台数や利用者、資材置場であれば保管物や必要面積などを具体的に説明できるようにしておくことが重要です。
転用面積が必要以上に広い
農地転用では、転用目的に対して必要な面積かどうかも確認されます。
たとえば、小規模な住宅を建てるために非常に広い農地全体を転用しようとすると、なぜその面積が必要なのか説明を求められることがあります。
駐車場や資材置場の場合も同様です。
駐車台数や保管する資材量に対して明らかに広すぎる場合は、土地利用計画の見直しが必要になることがあります。
実務では、「所有している土地全部をまとめて転用したい」と考える方もいますが、農地転用では転用目的を達成するために必要な範囲で申請することが基本です。
排水や周辺農地への影響に問題がある
転用によって周辺農地に悪影響が生じる場合も、許可上の問題になります。
たとえば、
・盛土によって雨水が隣の畑へ流れ込む・農業用水路をふさいでしまう・土砂が隣接農地へ流出する・出入口の設置によって農道利用に支障が出る
といったケースです。
そのため、住宅や駐車場、資材置場への転用では、排水計画や造成方法まで検討しておく必要があります。
特に周囲を農地に囲まれている土地では、自分の敷地内だけを見て計画するのではなく、周辺農地への影響まで確認することが重要です。
許可前に工事を始めると違反転用になる可能性がある
農地法4条の許可が必要な土地について、許可前に造成や建築などを行うと違反転用になる可能性があります。
たとえば、
「申請予定だから先に砂利だけ敷いた」
「工事会社の日程が決まっていたので先に造成した」
という場合でも注意が必要です。
農林水産省によると、無許可・無届で農地を農地以外の用途に利用する行為は違反転用に該当し、是正指導の対象となります。
是正されない場合には、工事停止などの勧告や原状回復命令等が行われることがあり、悪質な事案では罰則の対象となる場合もあります。
そのため、転用工事は必ず許可または届出の手続きを終えてから開始することが重要です。
9. 山梨県で農地転用する場合の実務上のポイント
山梨県で農地法4条による農地転用を行う場合も、基本的な制度は全国共通です。
一方で、申請窓口や申請締切日、必要書類などの具体的な運用は自治体によって異なります。
そのため、実際に転用を検討する場合は、対象農地が所在する市町村の農業委員会へ早めに相談することが重要です。
山梨県では、農地法4条許可申請の受付窓口を、転用する農地が所在する各市町村農業委員会としています。
まず市街化区域かどうかを確認する
山梨県で農地転用を考える場合、最初に確認したいのが対象農地の区域です。
市街化区域内の農地であれば、原則として農地法4条の許可ではなく届出となります。
一方、市街化区域以外であれば、原則として許可申請が必要です。
甲府市でも、市街化区域の場合は届出、市街化区域以外の場合は転用許可申請という取扱いになっています。
同じ甲府市内の農地でも、所在地によって手続きが異なるため、土地の住所だけで判断せず都市計画上の区域を確認することが重要です。
農振農用地・農地区分を事前に確認する
次に確認したいのが、農振農用地に該当していないか、どの農地区分に該当するかです。
農用地区域内農地や第1種農地などは、原則として転用が難しいためです。
甲府市も、許可区域については農地種別によって転用許可が認められない場合があるとして、申請前に事前協議を受けるよう案内しています。
たとえば、
「親から引き継いだ畑に家を建てたい」
という場合でも、その土地が農振農用地であれば、すぐに4条申請へ進めるとは限りません。
農振除外が必要なのか、そもそも転用可能性があるのかを先に確認する必要があります。
甲府市では申請締切日にも注意する
甲府市で農地法4条の許可申請を行う場合、許可申請は毎月8日が受付締切です。
8日が休日の場合は、その前の平日が締切となっています。
甲府市によると、問題がなければ翌月10日頃に許可書が交付され、10アール以上の許可申請については県農業会議への諮問があるため、翌月15日頃の交付となります。
また、開発許可を伴う場合は、開発許可と同日許可になるため、それより遅くなる場合があります。
一方、市街化区域内の届出は随時受け付けており、甲府市ではおおむね1週間程度で受理通知書を交付するとしています。
この違いは、住宅建築などのスケジュールを組むうえで非常に重要です。
申請締切日を1日過ぎただけでも翌月扱いになる可能性があるため、余裕を持って準備する必要があります。
山梨県では土地の選定理由や資金計画も重要
山梨県が示している農地法4条申請の添付書類には、位置図、公図、土地の登記事項証明書、土地利用計画図、資力を証明する書類などが含まれています。
また、代替性の検討が必要な場合には土地の選定理由書、土地改良区内であれば土地改良区の意見書、一時転用では農地復元計画書などが求められることがあります。
つまり、「申請書を1枚出せば終わる手続き」ではありません。
なぜこの農地を転用する必要があるのか、どのように利用するのか、事業を実施する資金があるのかまで整理しておく必要があります。
行政書士へ早めに相談するメリット
農地法4条申請は、自分で行うこともできます。
一方、
・農振農用地かどうか分からない・農地区分が分からない・住宅を建てられるか確認したい・駐車場や資材置場へ転用したい・都市計画法など他の許可も関係している・すでに農地を農地以外の用途に使ってしまっている
といった場合は、確認事項が多くなります。
行政書士へ相談することで、農地法4条の許可が必要なのか、届出なのか、農振除外など別の手続きが先に必要なのかを整理しやすくなります。
農地転用では、建築会社との契約や造成工事を進めた後に「この農地は転用できない」と分かると、大きな負担になります。
山梨県・甲府市で住宅建築や駐車場、資材置場などへの農地転用を検討している場合は、具体的な工事を進める前に農業委員会や行政書士へ相談することをおすすめします。
10. まとめ
自分が所有する農地を住宅、駐車場、資材置場、店舗など農地以外の用途へ変更する場合は、原則として農地法4条の手続きが必要です。
ただし、すべての農地で同じ手続きを行うわけではありません。
市街化区域内の農地については原則として届出となり、市街化区域以外では許可申請が必要になります。
また、農振農用地や甲種農地、第1種農地などは転用が厳しく制限されており、自分が所有する土地であっても自由に転用できるとは限りません。
農地法4条許可では、農地の立地だけでなく、転用目的が具体的か、必要な資金を確保できるか、他法令上の手続きに問題がないか、周辺農地へ悪影響を与えないかなども確認されます。
そのため、「使っていない畑だから駐車場にしたい」というだけではなく、転用後の利用方法まで具体的に計画することが重要です。
また、農地転用では、許可を受ける前に造成や建築を始めてはいけません。
許可や届出を行わないまま砂利を敷いたり、資材置場として使用したりすると、違反転用となる可能性があります。違反転用については、是正指導や原状回復命令などの対象になる場合があるため注意が必要です。
山梨県・甲府市で農地転用を検討する場合は、まず対象農地が市街化区域にあるのか、農振農用地に該当しないか、農地区分は何かを確認することが出発点になります。
特に住宅建築の場合は、農地法だけでなく都市計画法や建築関係の手続きが必要となることもあります。
農地法の許可が取れても、他の法律によって建築できなければ計画を実現できません。
そのため、住宅メーカーや工事会社との契約を進める前に、農地転用が可能かどうかを確認しておくことが重要です。
行政書士へ依頼する場合も、単に農地法4条の申請書を作成するだけではなく、転用可能性の確認、農業委員会との事前協議、必要書類や関連手続きの整理まで相談できます。
山梨県・甲府市で、自分の農地に住宅を建てたい、駐車場や資材置場として活用したいと考えている場合は、計画の早い段階で農業委員会や行政書士へ相談し、必要な手続きを確認してから進めることをおすすめします。


