【取得条件】建設業許可が必要なケースとは?

▼目次
1. 建設業許可が必要になるケースとは
建設業許可制度の概要
建設業許可とは、一定規模以上の建設工事を請け負うために必要となる許可制度です。
建設業法に基づいて定められており、建設工事の品質確保や発注者の保護を目的としています。
建設工事は、人々の生活や安全に深く関わる仕事です。
そのため、一定規模以上の工事については、経営能力や技術力などを備えた事業者だけが請け負えるよう、建設業許可制度が設けられています。
なぜ建設業許可が必要なのか
建設業許可は、単なる営業許可ではありません。
取得するためには、
・一定の経営経験があること
・技術者を配置していること
・財産的基礎があること
・法令を遵守できる体制があること
など、複数の要件を満たす必要があります。
この制度によって、一定水準以上の事業者だけが大規模工事を請け負えるようになっています。
建設業許可が必要かどうかを判断するポイント
建設業許可が必要かどうかを判断するポイントは、大きく2つです。
一つ目は「工事の種類」。
二つ目は「請負金額」です。
会社の規模や従業員数、法人・個人事業主であるかどうかは、基本的には判断基準ではありません。
行政書士としてご相談を受ける中でも、
「法人だから必要ですよね?」
「個人だから不要ですよね?」
というご質問がありますが、実際にはどちらも工事内容と請負金額によって判断します。
2. 建設業許可が不要なケース
500万円未満の軽微な工事とは
建設業法では、「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は、建設業許可が不要とされています。
一般的には、1件の請負代金が500万円未満(税込)の工事がこれに該当します。
例えば、外壁塗装や内装工事、小規模なリフォーム工事などでも、請負金額が500万円未満であれば、建設業許可が不要となる場合があります。
ただし、「500万円未満なら何でも自由に工事ができる」という意味ではありません。
建設業法以外の法律や資格制度が関係する工事もあるため注意が必要です。
建築一式工事の例外(1,500万円・150㎡)
建築一式工事については、一般の工事とは基準が異なります。
次のいずれかに該当する場合は、建設業許可が必要です。
・請負金額が1,500万円以上(税込)
・延べ面積150㎡以上の木造住宅工事
例えば、新築住宅や大規模な木造住宅の建築工事では、500万円ではなくこちらの基準で判断されます。
この点は、初めて建設業許可を検討する方が特に間違えやすいポイントです。
個人事業主でも許可不要になるケース
個人事業主だからといって、必ず建設業許可が必要というわけではありません。
例えば、
・住宅設備の修繕
・小規模な塗装工事
・500万円未満のリフォーム工事
など、軽微な工事のみを請け負う場合は、個人事業主でも許可は不要です。
一方で、個人事業主でも500万円以上の工事を請け負うのであれば、法人と同じように建設業許可が必要になります。
許可不要でも注意すべきポイント
「法律上は許可不要だから安心」と考えてしまう方もいます。
しかし実務では、
・元請会社から建設業許可を求められる
・公共工事へ参加できない
・金融機関から会社の信用力を確認される
など、許可がないことで不利になるケースもあります。
山梨県内でも、元請会社から「今後も取引を続けるためには建設業許可を取得してください」と言われたことをきっかけに、ご相談へ来られる事業者様は少なくありません。
現在は500万円未満の工事しか行っていなくても、将来的に事業を拡大したいのであれば、早めに取得を検討することをおすすめします。
3. 建設業許可が必要になる具体例
外壁塗装工事の場合
例えば、住宅の外壁塗装工事で、請負金額が480万円(税込)であれば、建設業許可は不要です。
一方、請負金額が550万円(税込)になると、建設業許可が必要になります。
「塗装工事だから不要」ということではなく、あくまで請負金額で判断されます。
リフォーム工事の場合
リフォーム工事は特に判断が難しい工事です。
キッチン交換、浴室改修、内装工事など複数の工事をまとめて請け負うと、500万円を超えることがあります。
行政書士として実務を行う中でも、「一つひとつの工事は小さいが、合計すると500万円を超えていた」というケースは珍しくありません。
契約内容をしっかり確認することが重要です。
電気工事・設備工事の場合
電気工事や管工事でも、500万円以上の工事であれば建設業許可が必要になります。
また、建設業許可以外にも、電気工事業の登録など別の制度が関係する場合があります。
工事内容によって必要な手続きは異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
解体工事の場合
解体工事についても同様です。
小規模な解体工事であれば許可不要の場合がありますが、500万円以上の請負工事を行う場合は建設業許可が必要になります。
また、解体工事業登録との違いについても理解しておく必要があります。
「解体工事業登録があるから建設業許可は不要」と誤解されるケースもありますが、請負金額によって必要となる制度が変わります。
工事金額の計算方法
実務上、最も多い勘違いが工事金額の考え方です。
建設業許可が必要かどうかは、「工事代だけ」ではなく、材料費や設備費などを含めた請負契約金額で判断します。
例えば、
工事費450万円
材料費120万円
で契約した場合、請負金額は570万円となり、建設業許可が必要です。
行政書士としてご相談を受ける中でも、この点を誤解されている事業者様は非常に多く見受けられます。
「工事代だけなら500万円未満だから大丈夫」と判断せず、契約金額全体で確認することが重要です。
4. 「取得条件」と「許可が必要な条件」は違う
よくある勘違い
建設業許可について相談を受ける中で、最も多い勘違いが、
「500万円以上の工事を受注する予定だから、建設業許可はすぐ取得できる」
というものです。
しかし、これは正しくありません。
建設業許可には、
・建設業許可が必要になる条件
・建設業許可を取得できる条件(取得要件)
という2つがあり、それぞれ全く別のものです。
例えば、600万円の工事を受注する予定があれば、法律上は建設業許可が必要です。
しかし、
・経営経験が不足している
・専任技術者がいない
・必要な証明書類が揃わない
などの場合は、建設業許可を取得することはできません。
まずはこの違いを理解することが大切です。
許可が必要でも取得できないケース
実際にご相談いただく中でも、「元請会社から建設業許可を取得してくださいと言われた」というケースは非常に多くあります。
しかし、詳しくお話を伺うと、
・経営経験を証明する資料が残っていない
・専任技術者の要件を満たしていない
・実務経験を証明できない
といった理由で、すぐには申請できないことがあります。
このような場合は、今後必要になる資料を整理したり、資格取得を目指したりと、計画的な準備が必要です。
まず確認すべきポイント
建設業許可を検討する際は、最初に次の3点を確認しましょう。
・500万円以上の工事を請け負う予定があるか
・建設業許可の取得要件を満たしているか
・いつまでに許可が必要になるのか
行政書士としては、「工事が決まってから相談する」のではなく、少しでも取得を考え始めた段階でご相談いただくことをおすすめしています。
準備期間に余裕があるほど、スムーズに許可取得へ進める可能性が高くなります。
5. 建設業許可を取得するための要件
経営業務の管理を適正に行う能力
建設業許可を取得するためには、建設業の経営を適切に行える能力が必要です。
以前は「経営業務の管理責任者(経管)」という制度でしたが、現在は制度が見直され、「建設業の経営業務を適正に行う能力」が求められています。
実際には、
・建設業で一定期間の経営経験がある
・役員として経営に携わっていた
などを証明する必要があります。
経験があるだけではなく、それを客観的な資料で証明できることが重要です。
専任技術者
営業所ごとに、専任技術者を配置する必要があります。
専任技術者とは、その工事について十分な知識や技術を持つ人のことです。
国家資格を持っている場合だけでなく、一定年数以上の実務経験で認められる場合もあります。
ただし、業種によって必要となる資格や経験年数が異なるため、事前の確認が欠かせません。
財産的基礎
一般建設業では、
・自己資本500万円以上
または
・500万円以上の資金調達能力
などが必要になります。
預金残高証明書や決算書などによって証明することが一般的です。
「会社を設立したばかりだから無理」と思われる方もいますが、資金要件を満たしていれば取得できるケースもあります。
誠実性・欠格要件
建設業許可では、申請者や役員が法令を守って事業を行えることも重要な要件です。
一定の欠格事由に該当する場合は、建設業許可を取得できません。
また、反社会的勢力との関係がないことなども確認されます。
社会保険など近年のポイント
近年では、社会保険への加入状況も重要視されています。
法律上だけでなく、元請会社から社会保険加入を条件とされるケースも増えています。
建設業許可を取得するタイミングで、会社全体の労務管理や法令遵守体制を見直す事業者も少なくありません。
6. 建設業許可が必要なのに取得していないとどうなる?
建設業法違反になる可能性がある
建設業許可が必要な工事を無許可で請け負った場合、建設業法違反となる可能性があります。
「知らなかった」「初めてだった」という理由で免除されるものではありません。
そのため、工事を受注する前に、建設業許可が必要かどうかを確認することが重要です。
罰則を受ける可能性
建設業法に違反した場合は、罰則の対象となることがあります。
さらに、行政処分や営業への影響が生じる可能性もあるため注意が必要です。
建設業は信用が重要な業界です。
一度法令違反が発覚すると、その後の営業活動にも大きな影響を及ぼすことがあります。
元請会社との取引停止リスク
近年、元請会社ではコンプライアンスを重視する傾向が強まっています。
そのため、
「建設業許可がない会社とは契約できない」
という方針を取る企業も増えています。
実際に山梨県内でも、「建設業許可取得後に取引を再開できた」という事例があります。
反対に、許可がないことで仕事を受注できなかったケースも少なくありません。
会社の信用にも影響する
建設業許可は、お客様や取引先に対する信用にもつながります。
例えば、
・ホームページへ許可番号を掲載できる
・名刺や会社案内へ記載できる
・金融機関からの評価につながる
など、営業面でのメリットもあります。
建設業許可は「仕事を受けるための資格」というだけではなく、「会社の信頼を示す証明」の一つともいえるでしょう。
7. 山梨県でよくある相談事例
「500万円未満だから許可は不要」と思っていたケース
行政書士として建設業許可のご相談を受ける中で、最も多いのがこのケースです。
例えば、
「普段は400万円程度の工事しか請けていないから大丈夫だと思っていました。」
という事業者様でも、詳しくお話を伺うと、
・材料費を含めると500万円を超えていた
・複数工事を一括契約していた
ということが少なくありません。
建設業許可が必要かどうかは、工事代だけではなく、請負契約全体の金額で判断します。
「大丈夫だと思っていた」という思い込みが、後から大きな問題につながることもあります。
材料費を含めることを知らなかったケース
建設業許可の判断では、材料費も請負金額に含まれます。
例えば、
工事費が420万円
材料費が130万円
の場合、請負金額は550万円となるため、建設業許可が必要です。
実際には、このルールをご存じない事業者様も多く、「工事代だけ見ていました。」というご相談を受けることがあります。
契約内容を確認する際は、請負金額全体で判断することが重要です。
元請会社から急に許可取得を求められたケース
近年、特に増えている相談です。
これまでは問題なく取引できていたものの、「来年度以降は建設業許可がある会社のみ発注します。」と元請会社から通知を受け、急いで相談に来られるケースがあります。
建設業許可は、申請してすぐ取得できるものではありません。
経営経験や専任技術者の確認、必要書類の収集など、一定の準備期間が必要です。
仕事の依頼を受けてから慌てて準備するのではなく、将来的に500万円以上の工事を受注する可能性がある場合は、早めに準備を進めることをおすすめします。
業種選択を間違えそうになったケース
建設業許可は29業種に分かれています。
例えば、リフォーム会社の場合でも、
・建築工事業
・内装仕上工事業
・大工工事業
・管工事業
など、実際の工事内容によって必要な業種は異なります。
行政書士としてご相談を受ける際は、
「今行っている工事」
だけではなく、
「今後受注したい工事」
まで確認したうえで、適切な業種をご提案しています。
取得後に業種追加も可能ですが、最初に事業計画を踏まえて検討することで、無駄な手続きを減らすことができます。
8. 建設業許可を取得する流れ
要件を確認する
まずは、自社が建設業許可を取得できるか確認します。
特に、
・経営業務の管理を適正に行う能力
・専任技術者
・財産的基礎
を満たしているか確認することが重要です。
必要書類を準備する
要件を満たしていることを確認したら、必要書類を準備します。
会社の状況によって必要書類は異なりますが、
・申請書
・登記事項証明書
・住民票
・納税証明書
・工事実績資料
など、多くの書類を提出します。
事前に漏れなく準備することで、スムーズな申請につながります。
山梨県へ申請する
書類が揃ったら、山梨県へ申請します。
申請後は担当部署で審査が行われ、不足資料や確認事項がある場合は補正を求められることがあります。
審査・許可取得
審査が完了すると、建設業許可通知書が交付されます。
許可取得後は、500万円以上の建設工事を請け負うことが可能になります。
ただし、取得後も毎年の決算変更届や5年ごとの更新手続きなど、継続的な管理が必要です。
9. 建設業許可についてよくある質問
個人事業主でも建設業許可は取得できますか?
はい、取得できます。
法人だけでなく、個人事業主でも要件を満たせば建設業許可を取得できます。
山梨県知事許可なら県外では工事ができませんか?
いいえ、営業所が山梨県内のみであれば、山梨県知事許可でも全国で工事を行うことができます。
国土交通大臣許可が必要になるのは、複数の都道府県に営業所を設ける場合です。
建設業許可はいつ取得したら良いですか?
500万円以上の工事を請け負う予定がある場合は、早めの準備をおすすめします。
元請会社から取得を求められてからでは、工事の開始時期に間に合わない可能性があります。
自分で申請することはできますか?
ご自身で申請することも可能です。
ただし、建設業許可は提出書類が多く、証明資料の確認も必要になります。
初めて申請する場合は、行政書士へ相談することでスムーズに進められるケースが多くあります。
許可取得後は何もしなくて良いですか?
いいえ。
建設業許可は取得後も、
・毎年の決算変更届
・変更届
・5年ごとの更新
など、継続的な手続きが必要になります。
許可取得後の管理まで含めて計画することが大切です。
10. まとめ
建設業許可が必要になるかどうかは、
・工事内容
・請負金額
によって判断されます。
一方で、建設業許可を取得するためには、
・経営業務の管理を適正に行う能力
・専任技術者
・財産的基礎
などの取得要件を満たす必要があります。
この2つは全く別の考え方であり、混同しないことが重要です。
また、現在は500万円未満の工事しか請け負っていない場合でも、今後事業を拡大する予定がある場合や、元請会社との取引拡大を目指す場合は、早めに建設業許可の取得を検討することをおすすめします。
行政書士として多くのご相談を受ける中でも、「もっと早く相談しておけば良かった」という声をいただくことは少なくありません。
建設業許可は、単に法律を守るためだけではなく、会社の信用力向上や受注機会の拡大にもつながる大切な許可です。
「自社は建設業許可が必要なのか分からない」「取得できる条件を満たしているか確認したい」という方は、お気軽にご相談ください。事業内容や今後の計画に合わせて、最適な方法をご提案いたします。


