【外国人の転職】ビザ変更は必要?転職時の手続きと注意点を解説

▼目次
1. 外国人が転職するとき、ビザ変更は必要?
外国人が転職する場合、「会社が変わるならビザも変更しなければならない」と考える方もいます。
しかし、転職しただけで必ず在留資格変更許可申請が必要になるわけではありません。
重要なのは、転職後の仕事内容が、現在持っている在留資格で認められている活動の範囲内かどうかです。
出入国在留管理庁も、転職後の活動が現在の在留資格に基づく活動と変わらない場合は在留期間更新許可申請、活動内容が変わる場合は在留資格変更許可申請が必要になると案内しています。
転職しただけではビザ変更は不要
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でシステムエンジニアとして働いている外国人が、別の会社でも同じようにシステム開発を行うケースです。
この場合、勤務先は変わりますが、行う活動自体は大きく変わりません。
そのため、転職したという理由だけで、必ず在留資格を変更するわけではありません。
ただし、勤務先が変わったことについて、別途届出が必要になる場合があります。
判断基準は「転職後の仕事内容」
転職時に最も重要なのは、会社名や業種よりも「実際に何の仕事をするのか」です。
「技術・人文知識・国際業務」であれば、自然科学や人文科学の知識、外国文化に基づく専門性などを必要とする業務が対象となります。
具体的には、技術者、通訳、デザイナー、語学教師、マーケティング業務などが例として挙げられています。
そのため、求人票に「営業」や「事務」と書かれているだけでは判断できません。
実際の職務内容まで確認する必要があります。
同じ在留資格の範囲なら変更不要
転職前と転職後の仕事が、どちらも現在の在留資格で認められる範囲であれば、原則として在留資格変更は必要ありません。
たとえば、
・ITエンジニアから別会社のITエンジニア
・通訳から別会社の通訳
・経理担当から別会社の経理担当
といったケースです。
ただし、「職種名が同じ=必ず問題ない」とは限りません。
同じ営業職でも、専門知識を活用する法人営業なのか、店舗での販売業務が中心なのかによって判断が変わる可能性があります。
会社名ではなく実際の業務内容を見る
外国人の転職相談では、「前の会社でも同じような仕事をしていたから大丈夫だろう」という判断がよくあります。
しかし、入管では実際の職務内容が重要になります。
特に注意したいのが、専門業務として採用されたものの、実際には工場作業や店舗接客、清掃などが中心になっているケースです。
行政書士として確認する場合も、雇用契約書だけではなく、具体的な業務内容や1日の仕事の流れまで確認することがあります。
転職時に確認したい3つのポイント
外国人が転職するときは、最低でも次の3点を確認しておくことが大切です。
・現在の在留資格・転職後の具体的な仕事内容・本人の学歴や職歴と仕事との関係
まず、在留カードで現在の在留資格を確認し、その資格でどのような仕事が認められているのかを整理します。
次に、転職先で実際に担当する仕事内容を確認します。「営業」「事務」「技術職」といった職種名だけではなく、日常的にどのような業務を行うのかまで具体的に確認することが重要です。
さらに、「技術・人文知識・国際業務」などでは、本人の学歴や職歴と仕事内容との関連性も審査上重要になります。
企業側も、「在留カードを持っているから働ける」とだけ判断するのは避けるべきです。採用後に問題が判明すると、仕事内容や勤務開始時期の見直しが必要になることもあります。
そのため、採用前の段階で在留資格、仕事内容、本人の経歴をセットで確認しておくことが、外国人雇用のトラブル防止につながります。
2. 転職しても在留資格変更が不要なケース
転職後も現在の在留資格で認められている活動を続ける場合は、一般的に在留資格変更許可申請は必要ありません。
出入国在留管理庁も、転職後の活動が現在の在留資格に基づく活動と変わらない場合は、在留資格変更ではなく在留期間更新許可申請を行う扱いを示しています。
ただし、転職後の仕事内容が本当に現在の在留資格に該当するかは、事前に確認しておく必要があります。
同じ職種・同じ仕事内容へ転職する場合
わかりやすいのは、転職前と転職後で仕事内容がほぼ同じケースです。
たとえば、IT企業のプログラマーが別のIT企業へ転職し、引き続きシステム開発やプログラム開発を担当する場合です。仕事内容が「技術・人文知識・国際業務」の範囲内であれば、勤務先が変わっても在留資格そのものを変更する必要は通常ありません。
通訳から別会社の通訳、経理担当から別会社の経理担当へ転職する場合なども、基本的な考え方は同じです。
ただし、職種名が同じでも、実際の業務内容まで同じとは限りません。たとえば「営業職」であっても、専門知識を活用した法人営業なのか、店舗での販売業務が中心なのかによって判断が変わることがあります。
そのため、「前職と同じ職種だから大丈夫」と判断するのではなく、転職先で実際に担当する仕事内容まで確認しておくことが重要です。
会社の業種が変わっても問題ない場合がある
転職前と転職後で、会社の業種が異なるケースもあります。
たとえば、製造会社の社内SEから物流会社の社内SEへ転職する場合です。
会社の事業内容は違いますが、本人が行う仕事がシステム管理や開発であれば、現在の在留資格の範囲内と判断される可能性があります。
つまり、「会社の業種」だけではなく「本人が何をするか」が重要です。
職種名だけで判断しない
注意したいのが、求人票に書かれている職種名だけで判断することです。
たとえば「営業職」と書かれていても、実際には店舗での販売や品出しが中心という場合があります。
反対に、海外取引先との交渉やマーケティング、通訳を含む営業であれば、専門性が認められる可能性があります。
実務では、職種名よりも業務内容を具体的に整理することが重要です。
転職時に仕事内容を確認しておく
在留期限がまだ1年以上残っていると、「次の更新まで何もしなくても大丈夫」と考える方もいます。
しかし、転職した時点では、新しい勤務先での仕事内容について入管の審査を受けていない場合があります。
そのため、次回更新になって初めて「現在の在留資格では難しい仕事だった」と判明するケースも考えられます。
転職時点で仕事内容を確認しておけば、このようなリスクを減らせます。
次回更新では新しい勤務先が審査される
在留資格変更が不要でも、次回の在留期間更新許可申請では、新しい勤務先での雇用状況や仕事内容などが確認されます。
特に転職後初めての更新では、転職先の会社に関する資料や仕事内容について確認されることがあります。
「転職できたから問題ない」ではなく、「次の更新でも問題なく説明できる状態にしておく」という視点が大切です。
3. 転職時に在留資格変更が必要になるケース
転職後の仕事内容が、現在の在留資格で認められている活動とは異なる場合、在留資格変更許可申請が必要になります。
出入国在留管理庁も、転職後の活動が現在の在留資格に基づく活動から変わる場合には、在留資格変更許可申請が必要としています。
つまり、会社が変わることよりも、「活動内容が変わるか」がポイントです。
現在の在留資格ではできない仕事へ転職する場合
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」でITエンジニアとして働いている外国人が、まったく異なる活動を行う仕事へ転職する場合です。
現在の在留資格では認められない活動であれば、その仕事に対応した在留資格への変更を検討する必要があります。在留資格ごとに、日本国内で認められている活動の範囲は異なるため、「転職先が決まったからそのまま働ける」とは限りません。
特に、専門的な知識を使う仕事から、接客や現場作業など仕事内容が大きく変わる場合は注意が必要です。
転職時には会社名だけでなく、実際に担当する仕事内容が現在の在留資格に合っているかを確認することが重要です。
就労ビザはどんな仕事でもできるわけではない
一般的に「就労ビザ」と呼ばれることがありますが、「就労ビザ」という名称の在留資格が一つ存在するわけではありません。
実際には、
・技術
・人文知識
・国際業務
・技能
・介護
・特定技能
・企業内転勤など、仕事内容や活動内容に応じて複数の在留資格があります。
それぞれ認められている仕事の範囲が異なるため、「就労ビザを持っているから、どんな会社でも自由に働ける」という考え方は正しくありません。
たとえば、現在の在留資格で認められている仕事とは異なる職種へ転職する場合、別の在留資格への変更が必要になる可能性があります。
企業側も、在留カードの有効期限だけを見るのではなく、在留資格と採用予定の仕事内容を照らし合わせて確認することが大切です。
特定技能の転職は別途確認が必要
特定技能で働いている外国人が転職する場合は、「技術・人文知識・国際業務」と同じ感覚で判断しないことが重要です。
特定技能では、勤務する分野や所属機関、雇用契約などが在留資格の審査に大きく関係します。
そのため、同じような仕事への転職であっても、新しい所属先との契約内容などに応じて在留手続きが必要になる場合があります。
また、特定技能には外国人本人だけでなく、受入れ企業側にも各種届出や支援に関する義務があります。
転職してから必要な手続きを調べるのではなく、退職日や入社日を決める前に、新しい勤務先でどのような手続きが必要になるのか確認しておくことが安全です。
身分系在留資格は考え方が異なる
一方、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」などは、就労系の在留資格とは考え方が異なります。
これらの在留資格では、原則として職種による就労制限がないため、転職によって仕事内容が変わったからといって、「技術・人文知識・国際業務」のように仕事の種類に応じて在留資格変更を検討する必要は通常ありません。
たとえば、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ人が、事務職から販売職へ転職する場合でも、職種そのものを理由に在留資格を変更する必要は基本的にありません。
ただし、在留資格によって転職時の考え方が大きく異なるため、まず在留カードで現在の在留資格を確認することが重要です。
「外国人の転職」というだけで一律に判断せず、現在どの在留資格で日本に滞在しているのかを最初に確認しましょう。
許可前に新しい仕事を始めない
在留資格変更が必要なケースでは、現在の在留資格では認められない仕事を、変更許可が出る前に始めないよう注意が必要です。
「在留資格変更許可申請を提出したから、すぐに新しい仕事を始めてもよい」とは限りません。
申請中であっても、許可が出るまでは現在の在留資格に基づいて活動することが基本となります。
そのため、転職先の企業は、内定日と実際の勤務開始日を分けて考える必要があるケースもあります。
採用後になって在留資格の問題が判明すると、勤務開始を延期したり、雇用条件を見直したりする必要が出ることがあります。外国人本人と企業の双方が、入社日を決める前に在留資格と仕事内容の適合性を確認しておくことが重要です。
4. 転職した外国人が14日以内に行う届出とは
外国人が転職した場合、在留資格変更が不要であっても、「所属機関等に関する届出」が必要になることがあります。
これは在留資格変更許可申請とは別の手続きです。
「ビザを変更しなくてよい=何もしなくてよい」ではないため注意しましょう。
在留資格変更とは別の手続き
「技術・人文知識・国際業務」「研究」「介護」「技能」「特定技能」など、一定の在留資格を持つ外国人には、勤務先や契約機関に変更があった場合の届出制度があります。
この届出は、在留資格変更許可申請とはまったく別の手続きです。転職後の仕事内容が現在の在留資格の範囲内であり、在留資格変更が不要な場合でも、勤務先が変わったことについて届出が必要になることがあります。
そのため、「ビザ変更が不要だから、入管への手続きも何も必要ない」と考えるのは注意が必要です。
転職時には、まず在留資格変更が必要かを確認し、そのうえで所属機関等に関する届出が必要かも確認する、という順番で考えると整理しやすくなります。
特に転職後も同じ「技術・人文知識・国際業務」で働く場合などは、在留資格そのものは変わらなくても、勤務先の変更に伴う届出が必要になるケースがあります。
退職と入社の両方が届出対象
対象となる在留資格では、前の会社を退職したときと、新しい会社と契約したときの両方が届出対象になります。
実務上、「新しい会社へ入社したことだけ届け出ればよい」と考えてしまうケースもありますが、前職との契約終了と、新しい勤務先との契約開始はそれぞれ別の事実として扱われます。
たとえば、前職を9/1(火)に退職し、新しい会社へ9/10(木)に入社した場合、退職と新たな契約についてそれぞれ確認が必要です。
また、退職してから次の勤務先が決まるまで期間が空く場合もあるため、「転職した日」を一つだけ考えるのではなく、退職日と入社日を分けて管理することが大切です。
転職時は会社側の手続きに意識が向きやすいですが、外国人本人に必要な届出も忘れないよう注意しましょう。
届出期限は原則14日以内
所属機関等に関する届出は、退職や新たな会社との契約など、対象となる事実が発生した日から14日以内に行う必要があります。
たとえば、9/1(火)に前職を退職した場合は、その退職について期限内に届出を行います。その後、9/10(木)に新しい会社へ入社した場合は、新たな契約についても別途届出が必要です。
退職日と入社日が同じとは限らないため、それぞれの発生日を基準に期限を確認することが重要です。
また、転職後は入社手続きなどで忙しくなりやすく、届出を忘れてしまうケースもあります。後回しにせず、退職日・入社日が確定した段階で早めに手続きを進めると安心です。
オンラインでも届出できる
所属機関等に関する届出は、地方出入国在留管理官署の窓口や郵送だけでなく、オンラインでも手続きできます。
出入国在留管理庁では電子届出システムを用意しており、勤務先を退職した場合や、新しい会社と契約した場合などの届出をインターネット上で行えます。
転職時は、退職手続きや新しい会社への入社準備、引越しなどが重なることもあります。14日以内の期限を過ぎないよう、早めに対応することが大切です。
オンラインで届け出る場合も、会社名、所在地、退職日、入社日などは正確に入力する必要があります。
なお、オンラインで届出を完了しても、新しい仕事内容が現在の在留資格で認められているかどうかは別に確認が必要です。
14日を過ぎた場合も速やかに対応する
転職相談では、「数か月前に会社を辞めたが、届出をしていなかった」というケースもあります。
このような場合でも、届出漏れをそのまま放置しないことが重要です。
特に次回の在留期間更新許可申請では、これまでの在留状況や転職経緯について確認される可能性があります。
転職後の手続きに不安がある場合は、
・現在の在留資格
・退職日と入社日
・新しい会社での仕事内容
・届出の実施状況
を一度整理しておくと、その後の手続きが進めやすくなります。
5. 転職先の仕事内容が現在のビザで働けるか確認する方法
外国人が転職するときに最も重要なのは、「新しい会社で行う仕事が、現在の在留資格で認められているか」を確認することです。
在留カードに「技術・人文知識・国際業務」と記載されていても、どのような仕事でも自由にできるわけではありません。
出入国在留管理庁は、「技術・人文知識・国際業務」について、自然科学や人文科学の知識を必要とする業務、または外国文化に基づく専門的な業務などを対象としています。具体例として、技術者、通訳、デザイナー、語学教師、マーケティング業務などが挙げられています。
まず現在の在留資格を確認する
最初に確認したいのが、在留カードに記載されている「在留資格」です。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」など、在留資格によって働くことのできる範囲は異なります。
転職相談では、「就労ビザを持っています」とだけ伝えられることもありますが、それだけでは判断できません。
まず在留資格の正式名称を確認し、その資格でどのような活動が認められているのかを整理する必要があります。
転職先の具体的な仕事内容を確認する
次に、転職後の仕事内容を具体的に確認します。
たとえば求人票に「営業職」と書かれていても、実際には法人営業、海外営業、店舗販売など、仕事内容はさまざまです。
「事務職」についても、経理や貿易事務なのか、単純な入力作業が中心なのかによって判断が変わる可能性があります。
そのため、職種名だけではなく、「具体的にどのような業務を、どの程度担当するのか」まで確認することが重要です。
学歴や職歴との関連性も確認する
「技術・人文知識・国際業務」では、仕事内容だけでなく、外国人本人の学歴や職歴が審査に関係することがあります。
出入国在留管理庁は、大学などで専攻した内容と従事する業務との関連性などを審査上の要素として示しています。専修学校を卒業している場合にも、専攻科目と業務内容との関連性が重要になります。
たとえば、大学で情報工学を学んだ人がITエンジニアとして働く場合は、関連性を説明しやすいでしょう。
一方、専攻内容と仕事内容が大きく異なる場合には、職歴など他の要件も含めて確認する必要があります。
「前職で許可されていたから大丈夫」とは限らない
実務上注意したいのが、「以前も同じ在留資格で働いていたから、新しい会社でも大丈夫だろう」と判断するケースです。
転職前と転職後では、会社の事業内容、担当業務、契約内容などが異なります。
特に前職では専門業務だったものの、転職後は現場作業や接客業務の割合が大きくなる場合は注意が必要です。
転職前の在留資格が有効だからといって、新しい仕事内容まで自動的に認められるわけではありません。
判断が難しい場合は就労資格証明書を利用する
転職後の仕事が現在の在留資格で認められるか不安な場合には、「就労資格証明書」を取得する方法があります。
出入国在留管理庁も、転職後の仕事内容が現在の在留資格で行える活動に該当するか確認したい場合、就労資格証明書の交付申請によって証明を受けることができると案内しています。
必ず取得しなければならない書類ではありませんが、転職後の仕事内容に不安がある場合には有効な手段です。
外国人本人だけでなく、採用する企業側にとっても、適法に就労できるか確認する材料になります。
6. 就労資格証明書は取得したほうがいい?転職時のメリットを解説
就労資格証明書とは、外国人が現在の在留資格に基づいて、どのような就労活動を行うことができるかを証明する書類です。
特に転職後、「新しい会社の仕事が現在の在留資格で問題ないのか」を確認するために利用されます。
出入国在留管理庁も、転職後の仕事内容が現在の在留資格で認められる活動に含まれるか確認したい場合に、就労資格証明書を利用できるとしています。
就労資格証明書とは?
就労資格証明書は、新しい在留資格を与える手続きではありません。
現在すでに持っている在留資格の範囲内で、「この仕事を行うことができる」という点を確認するための制度です。
そのため、在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請とは目的が異なります。
転職後に仕事内容が変わったものの、「在留資格を変更するほどではないと思うが、本当に問題ないか確認したい」という場合に利用しやすい制度です。
就労資格証明書の取得は義務ではない
転職した外国人が、必ず就労資格証明書を取得しなければならないわけではありません。
転職後の仕事内容が明らかに現在の在留資格の範囲内である場合には、取得せずに働き続けるケースも多くあります。
ただし、「取得義務がない」ということと、「仕事内容に問題がない」ということは別です。
仕事の内容に判断が難しい部分がある場合には、取得を検討する意味があります。
転職後の就労可否を事前に確認できる
就労資格証明書を取得する大きなメリットは、新しい会社での仕事内容が現在の在留資格に適合しているか確認できることです。
転職後すぐには在留期間更新の時期が来ない場合、次の更新まで仕事内容について正式な審査を受ける機会がないことがあります。
たとえば在留期間があと2年残っていれば、転職後の仕事を2年間続けた後に、初めて更新審査を受けることも考えられます。
その前に確認できるため、長期間働いた後になって問題が判明するリスクを減らすことにつながります。
次回の在留期間更新にも備えやすい
転職後初めての在留期間更新では、新しい勤務先での仕事内容などが確認されます。
在留期間更新許可申請では、外国人が現在の在留資格に応じた活動を継続しているかどうかが審査されます。
転職時に就労資格証明書を取得しておけば、新しい仕事について一度確認を受けた状態になります。
もちろん、就労資格証明書があれば次回更新が必ず許可されるというものではありませんが、不安材料を早めに整理しやすくなります。
企業側も安心して外国人を雇用できる
企業側にとっても、外国人を中途採用する際には「本当にこの仕事を任せても問題ないのか」という不安があります。
出入国在留管理庁も、外国人を採用したい企業が、採用後の業務を現在の在留資格で行えるか確認する方法として就労資格証明書を案内しています。
特に専門業務と現場業務が混在している会社では、判断が難しくなることがあります。
外国人本人と会社側の双方で仕事内容を整理し、必要に応じて証明書を取得しておくことが、トラブル防止につながります。
7. 外国人の転職でよくある失敗例と不許可・更新リスク
外国人の転職では、転職そのものよりも、「転職後の手続きを正しく行っていなかった」「仕事内容を確認していなかった」という点から問題になるケースがあります。
特に注意したいのが、在留期間更新の時期になってから初めて問題が判明するケースです。
転職時には、在留資格、仕事内容、届出、次回更新までを一連の流れとして考えることが重要です。
失敗例1:在留カードだけを見て採用してしまう
企業側でよくあるのが、在留カードの有効期限だけを確認して採用してしまうケースです。
在留カードが有効であっても、新しい会社で予定している仕事が認められているとは限りません。
特に「技術・人文知識・国際業務」は、専門的な知識を必要とする業務などが対象となっており、仕事内容によって適否が変わります。
採用前には、在留期限だけでなく、在留資格と具体的な仕事内容をセットで確認する必要があります。
失敗例2:届出を忘れたまま放置する
転職時の所属機関に関する届出を忘れてしまうケースもあります。
「会社が手続きをしてくれていると思っていた」「ビザ変更が不要なので届出も不要だと思っていた」という相談は珍しくありません。
前章で解説したとおり、一定の在留資格では、退職や新しい会社との契約について14日以内の届出が必要です。
届出漏れに気付いた場合は、そのまま放置せず、速やかに対応することが大切です。
失敗例3:実際の仕事内容が求人内容と違う
採用時には「通訳」「営業」「エンジニア」と説明されていたものの、実際に働き始めると現場作業や接客業務が中心だった、というケースにも注意が必要です。
在留資格の判断では、肩書きだけではなく、実際に行っている活動が重要です。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」では、自然科学や人文科学に関する技術・知識を必要とする業務などが対象です。
本人だけでなく、企業側も「採用時に説明した仕事と実際の仕事が一致しているか」を確認する必要があります。
失敗例4:転職してから次回更新まで何も確認しない
転職後も在留カードの有効期限が残っていると、そのまま働き続けてしまうことがあります。
しかし、転職後の活動が現在の在留資格に該当するか不安な場合には、就労資格証明書によって確認する方法があります。
何も確認せず次回の在留期間更新を迎えると、その段階で仕事内容や学歴との関係について説明を求められる可能性があります。
特に転職によって仕事内容が大きく変わった場合は、早めに確認しておくことが重要です。
失敗例5:更新直前に転職して準備が間に合わない
在留期限が近い時期に転職するケースにも注意が必要です。
出入国在留管理庁は、転職後の活動が現在の在留資格と変わらない場合は在留期間更新許可申請、活動が変わる場合は在留資格変更許可申請を、いずれも在留期限までに行う必要があると案内しています。
転職直後は、新しい会社の資料や職務内容説明などを準備する必要が出てくることがあります。
在留期限が迫ってから慌てないよう、転職を決めた段階で在留期限を確認しておくことをおすすめします。
8. 転職後の在留期間更新で審査されるポイント
転職後も現在の在留資格の範囲内で働いている場合、在留期限が近づけば在留期間更新許可申請を行います。
出入国在留管理庁によると、在留期間更新許可申請は、現在の在留資格を変更せず、その活動を引き続き行うための手続きです。6か月以上の在留期間を持つ場合は、原則として在留期限の3か月前から申請できます。
転職後初めての更新では、新しい勤務先での仕事内容や雇用状況について確認されるため、転職前よりも準備すべき資料が増えることがあります。
転職先の仕事内容が在留資格に合っているか
まず確認されるのが、新しい勤務先での仕事内容です。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」であれば、その在留資格で認められる専門的な活動を引き続き行っていることが重要です。
転職後の活動が現在の在留資格に基づく活動と変わらない場合は在留期間更新許可申請、活動そのものが変わる場合は在留資格変更許可申請が必要とされています。
そのため、更新直前になって仕事内容を確認するのではなく、転職時点から整理しておくことが大切です。
学歴・職歴と仕事内容の関係も確認される
就労系の在留資格では、外国人本人の学歴や職歴と、現在行っている仕事内容との関係も重要です。
転職前は問題なく許可されていた場合でも、転職後に担当業務が大きく変われば、新しい仕事内容について改めて説明が必要になることがあります。
特に「技術・人文知識・国際業務」では、大学などで学んだ内容やこれまでの職歴と、実際の業務内容との関連性を確認しておくことが重要です。
採用企業側も、本人の経歴と業務内容が合っているかを採用時点で確認しておくと安心です。
新しい会社の事業内容や雇用状況も重要
転職後の更新では、外国人本人だけでなく、勤務先となる会社についても確認されます。
2026年3月から運用されている「技術・人文知識・国際業務」の更新用提出書類一覧でも、所属機関のカテゴリーに応じて必要書類が整理されています。
会社の事業内容や外国人が担当する業務について、申請書だけでは分かりにくい場合には、追加の資料や説明が必要になることがあります。
特に小規模な会社や設立して間もない会社へ転職した場合は、仕事内容を具体的に説明できるよう準備しておくことが重要です。
転職時の届出状況も整理しておく
転職時に必要な所属機関等に関する届出を行っているかも確認しておきましょう。
「転職はしたが、14日以内の届出を忘れていた」というケースは実務上珍しくありません。
更新申請を行う段階で届出漏れに気付いた場合は、そのままにせず、これまでの経緯を整理したうえで対応することが大切です。
退職日、入社日、届出日などを整理しておけば、更新申請の際にも説明しやすくなります。
更新直前ではなく早めに準備する
在留期間更新許可申請は、在留期限が来る前に行う必要があります。
特に転職後初めての更新では、転職先の会社資料や仕事内容の説明、本人の学歴・職歴に関する資料などを改めて準備するケースがあります。
「在留カードの期限がまだあるから大丈夫」と考えていると、更新時期になってから問題が見つかることもあります。
転職した時点で一度在留資格との適合性を確認し、在留期限の3か月前を一つの目安として更新準備を始めると安心です。
9. 山梨県で外国人が転職する際に行政書士へ相談するメリット
外国人の転職手続きは、単に「会社が変わった」というだけでは判断できません。
現在の在留資格、転職後の仕事内容、学歴や職歴、勤務先の状況などを総合的に確認する必要があります。
特に山梨県内で外国人を採用する企業にとっては、外国人本人だけでなく、会社側でも在留資格について理解しておくことが重要です。
転職前にビザ変更の必要性を確認できる
行政書士へ相談するメリットの一つは、転職前に必要な手続きを整理できることです。
たとえば、
・在留資格変更が必要なのか・現在の在留資格のままで働けるのか・所属機関の届出だけでよいのか・就労資格証明書を取得したほうがよいのか
といった点を事前に確認できます。
転職後の活動が現在の在留資格と変わらない場合は更新、活動が変わる場合は在留資格変更が必要とされているため、この判断を転職前に行うことには大きな意味があります。
求人票だけでは分からない仕事内容まで整理できる
外国人雇用では、求人票の職種名だけで判断すると危険な場合があります。
たとえば「営業」「事務」「エンジニア」という名称でも、実際の業務内容は会社によって異なります。
行政書士へ相談する際には、雇用契約書や求人票だけでなく、具体的にどのような業務を担当する予定なのかを整理します。
特に山梨県内の中小企業では、一人の従業員が複数の業務を担当するケースもあるため、どの業務が中心になるのかを明確にしておくことが重要です。
外国人本人と企業の双方から確認できる
転職に関する問題は、外国人本人だけの問題ではありません。
企業側にも、「この在留資格で採用して問題ないのか」「どこまで仕事を任せられるのか」という不安があります。
行政書士に相談すれば、外国人本人の在留資格だけでなく、企業側の仕事内容や採用計画も含めて確認できます。
採用後になって「予定していた仕事を任せられない」と判明するより、採用前に確認しておくほうが企業側の負担も小さくなります。
更新や就労資格証明書まで見据えて対応できる
転職時点では在留資格変更が不要でも、その後には在留期間更新があります。
また、転職先での仕事内容に不安がある場合には、就労資格証明書を取得して確認する方法もあります。出入国在留管理庁も、転職後の仕事内容が現在の在留資格で認められるか確認する手続きとして就労資格証明書を案内しています。
そのため、転職手続きだけを見るのではなく、「次の更新まで問題なく働けるか」というところまで見据えて対応することが重要です。
早めの相談で転職・採用のトラブルを防ぎやすい
実際によく問題になるのは、入社後や更新直前になって相談されるケースです。
すでに勤務を開始している場合、仕事内容を変更したり、雇用条件を見直したりすることが難しくなることがあります。
外国人本人であれば内定を受ける前、企業側であれば採用を決定する前の段階で相談すると、選択肢を残しやすくなります。
山梨県や甲府市周辺で外国人の転職・採用を検討している場合は、在留カードと予定している仕事内容を確認したうえで、早い段階で行政書士へ相談することをおすすめします。
10. まとめ
外国人が転職したからといって、必ずビザ変更が必要になるわけではありません。
最も重要なのは、転職後の仕事内容が現在の在留資格で認められている活動の範囲内かどうかです。
勤務先が変わっても、転職前と転職後の仕事内容が現在の在留資格の範囲内であれば、通常は在留資格変更を行う必要はありません。
一方、転職によって行う活動そのものが変わる場合には、在留資格変更許可申請が必要になることがあります。
「会社が変わるか」ではなく、「仕事内容が変わるか」を基準に考えることがポイントです。
特に「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格では、担当する仕事内容が重要です。
職種名だけではなく、実際にどのような業務を行うのかまで確認する必要があります。
本人の学歴や職歴との関係についても確認し、「以前も働けていたから大丈夫」と安易に判断しないよう注意しましょう。
在留資格変更が不要であっても、一定の在留資格では、前の会社との契約終了や新しい会社との契約開始について届出が必要です。
この届出と在留資格変更許可申請は別の手続きです。
転職時には、「ビザ変更の必要性」と「所属機関等に関する届出」を分けて確認することが大切です。
転職後の仕事内容が現在の在留資格で認められるか判断しにくい場合には、就労資格証明書を利用する方法があります。
就労資格証明書を取得すれば、新しい勤務先で行う活動について確認を受けることができます。
次回の在留期間更新まで長期間ある場合などは、早めに就労可否を確認する方法として検討できます。
外国人の転職では、問題が起きてから対応するよりも、転職前に確認することが重要です。
現在の在留資格、在留期限、転職後の仕事内容、学歴・職歴、届出の必要性などを整理しておけば、転職後のトラブルを防ぎやすくなります。
山梨県・甲府市周辺で外国人の転職や外国人採用について不安がある場合は、内定・入社後ではなく、できるだけ早い段階で行政書士へ相談すると安心です。


