【外国人雇用の届出】企業が行う手続き・期限・必要書類を解説

▼目次
1. 外国人雇用状況の届出とは?企業に義務付けられた手続き
外国人を雇用する企業には、外国人を雇い入れたときや離職したときに「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります。
この制度は、外国人労働者の雇用状況を国が把握し、適正な雇用管理や再就職支援につなげるためのものです。
原則として、特別永住者や在留資格「外交」「公用」の外国人を除き、外国人を雇用する事業主が対象になります。厚生労働省によると、2025年10月末時点で外国人労働者は約257万人、外国人を雇用する事業所は約37万か所に達しており、外国人雇用は多くの企業にとって身近なものになっています。
外国人を雇った企業に義務付けられている
外国人雇用状況の届出は、外国人本人が行う手続きではなく、原則として雇用する事業主が行う手続きです。
正社員だけではなく、パートやアルバイトなどで外国人を雇用する場合も対象になる可能性があります。
「小さい会社だから不要」「外国人を1人だけ雇うから不要」という制度ではありません。
外国人を雇用した時点で、まず届出対象に該当するか確認する必要があります。
雇入れだけでなく離職時にも必要
外国人雇用状況の届出は、外国人を採用したときだけ行えばよいものではありません。
外国人が退職した場合にも、企業側には離職に関する届出が必要です。厚生労働省も、外国人の雇入れと離職の双方について、氏名や在留資格などを確認してハローワークへ届け出ることを求めています。
そのため、外国人を採用した際には、入社時の手続きだけでなく、退職時まで見据えて社内管理を行うことが重要です。
人事担当者が変更になった場合などに、離職時の届出だけ漏れてしまうケースにも注意しましょう。
届出先は原則としてハローワーク
外国人雇用状況の届出は、事業所の所在地を管轄するハローワークに行います。
ただし、雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険の資格取得届や資格喪失届の中で外国人雇用状況を届け出る仕組みになっています。
一方、雇用保険の被保険者とならない外国人については、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を使用します。
つまり、雇用保険に加入するかどうかによって、企業が行う手続きの方法が変わります。
在留カードなどで情報を確認する
企業は届出を行う際、外国人本人の申告だけで情報を記載するのではなく、在留カードや旅券などで必要事項を確認する必要があります。
主に、氏名、在留資格、在留期間、国籍・地域、在留カード番号などを確認します。
厚生労働省は、在留カード等の提示を受けて届出事項を確認するよう案内しており、届出そのものに在留カードのコピーを添付する必要はないとしています。
実務上は、入社手続きの段階で必要情報を確認できるよう、外国人雇用用のチェック項目を用意しておくと管理しやすくなります。
届出だけでなく就労可能かの確認も重要
外国人雇用状況の届出を提出すれば、外国人を自由に働かせることができるわけではありません。
外国人は、在留資格によって日本で行うことのできる活動が決められています。
そのため、企業は採用前に、その外国人が予定している仕事を行うことができる在留資格を持っているか確認する必要があります。厚生労働省も、外国人を雇い入れる際には、在留資格の範囲内で就労が認められるか確認するよう案内しています。
実務では、「届出をしたから採用手続きは完了」ではなく、在留資格と仕事内容の適合性まで確認することが重要です。
2. 外国人雇用状況の届出が必要な外国人・不要な外国人
外国人を雇用したからといって、すべての外国人について同じ届出を行うわけではありません。
外国人雇用状況の届出は、原則として事業主に雇用される外国人労働者が対象ですが、一部の外国人は対象外とされています。
まず、採用する外国人が届出対象に該当するかを確認しましょう。
原則として多くの外国人労働者が対象
外国人雇用状況の届出では、就労系の在留資格だけが対象になるわけではありません。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「技能実習」などで働く外国人はもちろん、就労制限のない「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」などを雇用する場合も対象になります。
また、資格外活動許可を受けてアルバイトをする留学生などについても、雇用する場合は届出対象になることがあります。
「就労ビザの外国人だけ届出すればよい」と考えないことが重要です。
特別永住者は届出対象外
外国人雇用状況の届出では、特別永住者は対象外とされています。
厚生労働省が公表している外国人雇用状況の統計でも、特別永住者は届出対象から除外されています。
そのため、外国人だからという理由だけで一律に届出を行うのではなく、在留資格等を確認する必要があります。
企業側で判断が難しい場合は、本人に在留カードなどの提示を求めて確認しましょう。
「外交」「公用」の在留資格も対象外
在留資格が「外交」または「公用」の外国人も、外国人雇用状況の届出の対象外です。
これらは一般企業で通常雇用するケースは多くありませんが、制度上の対象外として定められています。
したがって、届出対象かどうかを判断する際には、国籍ではなく在留資格を確認することが基本です。
在留カードを確認するときは、在留資格だけでなく、就労制限の有無なども併せて確認するとよいでしょう。
留学生や家族滞在のアルバイトにも注意
「留学」や「家族滞在」は、原則としてそのままでは就労を目的とする在留資格ではありません。
ただし、資格外活動許可を受けている場合には、一定の範囲内でアルバイトなどを行うことができます。
企業が留学生などを採用する際には、資格外活動許可の有無や許可された範囲を確認したうえで、外国人雇用状況の届出を行う必要があります。
特にアルバイト採用では、正社員ほど在留資格の確認を徹底していない企業もあるため注意が必要です。
在留資格だけでなく雇用関係があるか確認する
外国人雇用状況の届出は、「外国人と関係がある会社」であれば何でも必要になる制度ではありません。
基本的には、事業主と外国人の間に雇用関係がある場合が対象になります。
そのため、業務委託契約や請負契約の場合には、通常の雇用とは扱いが異なるため、契約の実態を確認する必要があります。
名目だけ業務委託にしていて、実際には会社の指揮命令を受けて働いているような場合は、労働者性について別途注意が必要です。
3. 外国人を雇い入れたときに企業が行う届出
外国人を採用した場合、企業は在留資格や在留期間などを確認したうえで、外国人雇用状況の届出を行います。
ただし、雇用保険の被保険者になる外国人と、被保険者にならない外国人では、使用する様式や提出方法が異なります。
企業としては、最初に「雇用保険に加入する外国人か」を確認すると手続きを整理しやすくなります。
雇用保険に加入する外国人の場合
雇用保険の被保険者となる外国人を雇い入れた場合、雇用保険被保険者資格取得届を提出します。
この資格取得届の所定欄に、在留資格や在留期間、在留カード番号など外国人雇用状況に関する事項を記載することで、外国人雇用状況の届出も行う仕組みになっています。
つまり、外国人雇用状況届出書を別途提出するのではなく、雇用保険の手続きと一緒に行う形です。
ただし、外国人特有の記載事項を漏らさないよう注意する必要があります。
雇用保険に加入しない外国人の場合
雇用保険の被保険者とならない外国人については、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を提出します。
様式第3号には、氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域、在留カード番号、雇入れ年月日、事業所情報などを記載します。資格外活動許可によって働く場合は、その許可の有無についても確認が必要です。
短時間勤務のアルバイトや、勤務条件によって雇用保険の加入対象とならない外国人を採用する場合には、この様式を使用するケースがあります。
ここで注意したいのは、「雇用保険に加入しない=外国人雇用状況の届出も不要」ではないという点です。
特に留学生のアルバイトなどは、雇用保険に加入しないケースも多いため、在留カードや資格外活動許可を確認したうえで、必要な届出を忘れずに行うことが重要です。
企業側では、雇用保険の加入有無と外国人雇用状況の届出を別々に確認する仕組みにしておくと、手続き漏れを防ぎやすくなります。
採用時には在留カードを確認する
外国人を雇い入れるときは、届出事項を正確に記載するために、本人の在留カードや旅券などを確認します。
特に確認したいのは、在留資格、在留期間、在留カード番号、就労制限の有無です。あわせて、在留期限が近くないか、自社で予定している仕事内容を現在の在留資格で行えるかも確認しておくことが重要です。
留学生や「家族滞在」など、資格外活動許可を受けて働く外国人を採用する場合は、在留カード裏面などで許可の有無も確認します。
単に在留カードを持っているから採用できるというわけではありません。在留資格によって認められる活動内容は異なるため、カードの記載内容と実際に担当してもらう仕事を照らし合わせる必要があります。
また、氏名や在留カード番号などは口頭確認だけで済ませず、原本を見ながら正確に確認しましょう。採用時点で適切に確認しておくことで、届出ミスだけでなく、就労資格に関するトラブルの防止にもつながります。
在留カードのコピー提出は原則不要
外国人雇用状況の届出に際して、在留カードそのもののコピーをハローワークへ提出する必要はありません。
必要なのは、企業が在留カードなどで情報を確認し、その内容を届出書類へ正確に記載することです。
ただし、企業内部でどのように本人確認記録を管理するかについては、個人情報保護にも配慮する必要があります。
必要以上に在留カードのコピーを社内で共有したり、誰でも閲覧できる場所に保存したりしないよう注意しましょう。
採用前に仕事内容との適合性も確認する
企業が確認すべきなのは、届出事項だけではありません。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」の外国人を採用する場合、その外国人に予定している仕事内容が在留資格の範囲に含まれているか確認する必要があります。
在留カードが有効であることと、自社で予定している仕事を任せられることは別問題です。
実務では、採用を決める前に「在留資格」「就労制限」「仕事内容」の3点を確認しておくことが、採用後のトラブル防止につながります。
4. 外国人が退職したときに企業が行う届出
外国人が会社を退職した場合にも、企業は外国人雇用状況の届出を行う必要があります。
採用時には手続きを行っていても、退職時の届出を忘れてしまうケースがあります。
外国人雇用の管理では、「入社」と「退職」をセットで管理することが重要です。
雇用保険加入者は資格喪失届と一緒に行う
雇用保険の被保険者である外国人が退職した場合には、雇用保険被保険者資格喪失届を提出します。
外国人雇用状況に関する事項も、この資格喪失届の中で届け出る仕組みです。厚生労働省も、雇用保険被保険者の場合は資格喪失届と併せて届出を行うよう案内しています。
そのため、通常の退職手続きの中で外国人特有の項目も確認しておく必要があります。
人事・労務担当者が外国人雇用状況の届出を別制度だと認識していないと、記載漏れにつながることがあります。
雇用保険に加入していない場合も届出が必要
雇用保険の被保険者ではない外国人が離職した場合も、外国人雇用状況の届出が必要です。
この場合は、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を使用し、離職年月日や氏名、在留資格、在留カード番号などの必要事項を記載して届け出ます。
アルバイトや短時間勤務の外国人など、雇用保険に加入していないケースでは、この方法で手続きを行うことがあります。
ここで注意したいのは、「正社員ではないから不要」「雇用保険に入っていないから退職時の届出も不要」と判断しないことです。
外国人雇用状況の届出は、雇用保険の加入有無によって手続き方法が変わるだけで、対象となる外国人については離職時にも届出が必要です。
企業側では、退職時のチェックリストに「外国人雇用状況の届出」を入れておくと、手続き漏れを防ぎやすくなります。
自己都合退職でも会社都合でも必要
外国人雇用状況の届出は、退職理由によって必要・不要が決まる制度ではありません。
外国人本人から退職を申し出た場合でも、契約期間満了の場合でも、会社都合による離職の場合でも、届出対象に該当すれば手続きが必要です。
重要なのは、「外国人が離職した」という事実です。
退職理由の整理だけでなく、外国人雇用状況の届出まで退職手続きのチェックリストに入れておくと漏れを防ぎやすくなります。
外国人本人の入管への届出とは別
外国人本人にも、在留資格によっては、勤務先を退職した場合に出入国在留管理庁への所属機関に関する届出が必要になることがあります。
しかし、これは企業が行う外国人雇用状況の届出とは別の制度です。
企業側がハローワークへ届け出たからといって、外国人本人の入管への届出が自動的に完了するわけではありません。
退職時には、「企業側の届出」と「外国人本人の届出」を混同しないことが重要です。
退職時の手続きを社内で仕組み化する
実務上、外国人の採用時は在留カードなどを慎重に確認していても、退職時になると通常の日本人従業員と同じ手続きだけで終了してしまうことがあります。
その結果、外国人雇用状況の届出だけ漏れてしまうケースがあります。
外国人を継続的に雇用する企業では、入社時と退職時のチェックリストを作成し、「在留資格確認」「外国人雇用状況届出」などを社内手続きに組み込んでおくと安心です。
特に外国人従業員が増えてきた企業では、担当者個人の記憶に頼らず、社内ルールとして管理することが重要です。
5. 外国人雇用状況の届出期限はいつまで?
外国人雇用状況の届出では、「いつまでに提出すればよいのか」を正しく把握しておくことが重要です。
特に注意したいのは、雇用保険の被保険者となる外国人と、被保険者とならない外国人で届出期限が異なる点です。
同じ外国人雇用でも一律の期限ではないため、採用時・退職時に確認する必要があります。
雇用保険に加入する外国人は雇入れ翌月10日まで
雇用保険の被保険者となる外国人を採用した場合は、「雇用保険被保険者資格取得届」に外国人雇用状況に関する事項を記載して届け出ます。
提出期限は、その外国人が被保険者となった日の属する月の翌月10日までです。
たとえば、9/15(火)に雇い入れて雇用保険の被保険者となった場合は、原則として10/10(土)が期限となる考え方です。
外国人雇用状況だけを別途届け出るのではなく、雇用保険の資格取得手続きと一緒に行う点を押さえておきましょう。
雇用保険加入者の離職は翌日から10日以内
雇用保険の被保険者である外国人が退職した場合は、「雇用保険被保険者資格喪失届」によって手続きを行います。
提出期限は、被保険者でなくなった事実があった日の翌日から起算して10日以内です。
雇入れの場合は「翌月10日まで」、離職の場合は「翌日から10日以内」と異なるため、混同しないよう注意が必要です。
退職時には離職票など他の手続きも発生するため、外国人特有の記載事項を忘れないよう社内でチェックしておくと安心です。
雇用保険に加入しない外国人は翌月末まで
雇用保険の被保険者とならない外国人については、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を使用して手続きを行います。
この場合、雇入れ・離職のいずれについても、その事実があった日の属する月の翌月末日までが届出期限です。
たとえば9/15(火)に外国人アルバイトを雇い入れた場合は、原則として10月末までに届出を行います。反対に、9月中に退職した場合も、離職について翌月末までに届け出る必要があります。
短時間勤務やアルバイトなど、雇用保険に加入しない外国人であっても、外国人雇用状況の届出そのものが不要になるわけではありません。
企業側では、雇用保険の加入有無を確認したうえで、加入者は資格取得・喪失届、未加入者は様式第3号と、手続き方法を分けて管理しておくことが重要です。
外国人本人の「14日以内の届出」と混同しない
外国人の転職について調べていると、「14日以内」という期限を目にすることがあります。
これは一定の在留資格を持つ外国人本人が、勤務先の変更などについて出入国在留管理庁へ行う「所属機関等に関する届出」の期限です。
今回解説している外国人雇用状況の届出は、企業がハローワークへ行う別の手続きです。
企業側の届出期限を誤って「14日以内」と覚えないよう、それぞれ分けて管理することが重要です。
採用・退職時の社内チェックリストを作る
外国人雇用状況の届出は、期限そのものはそれほど長くありません。
特に退職時は給与計算、社会保険、雇用保険など複数の手続きが重なり、外国人雇用状況に関する確認が抜けることがあります。
実務では、外国人従業員について「入社日」「退職日」「雇用保険加入の有無」「届出日」を一覧で管理すると分かりやすくなります。
担当者だけの記憶に頼らず、社内の入退社手続きに組み込んでおくことが届出漏れの防止につながります。
6. 外国人雇用状況の届出に必要な書類・確認事項
外国人雇用状況の届出を行う際には、外国人本人の氏名や在留資格などを正確に確認する必要があります。
厚生労働省は、外国人労働者本人から在留カードや旅券などの提示を受け、必要事項を確認するよう求めています。
ただし、在留カードのコピーそのものを届出書に添付する必要はありません。
在留カードで基本情報を確認する
まず確認したいのが在留カードです。
外国人雇用状況の届出では、氏名、在留資格、在留期間、国籍・地域、在留カード番号などの情報を使用します。氏名については、会社内で使用している通称名ではなく、原則として在留カードに記載されている内容を確認します。
また、在留期間がいつまでなのか、就労制限の有無はどうなっているのかも確認しておきましょう。届出に必要な情報だけを見るのではなく、その外国人が実際に自社で働ける状態なのかを確認することが重要です。
入力ミスや在留カード番号の転記間違いを防ぐためにも、本人から口頭で聞くだけではなく、採用時に実物を確認したうえで正確に記録しましょう。
資格外活動許可の有無も確認する
留学生や「家族滞在」の外国人をアルバイトとして採用する場合は、資格外活動許可についても確認が必要です。
これらの在留資格は、原則としてそのまま自由に働ける在留資格ではありません。資格外活動許可を受けている場合に、許可された範囲内でアルバイトなどを行うことができます。
様式第3号でも、雇入れ時には資格外活動許可などの有無を記載する欄があります。そのため、在留カードの表面だけではなく、裏面の「資格外活動許可欄」まで確認することが重要です。
「留学生ならアルバイトできる」と一律に判断せず、許可の有無や働くことのできる時間・範囲を確認してから採用しましょう。
特定技能・特定活動は指定書にも注意する
「特定技能」や「特定活動」では、在留カードだけを見ても具体的な活動内容を十分に判断できない場合があります。
特定技能では、どの産業分野で活動することが認められているのかを確認する必要があります。また、「特定活動」は人によって認められている活動内容が異なるため、在留資格名だけでは就労可能な仕事内容を判断できません。
たとえば在留カードに「特定活動」と記載されていても、ワーキングホリデーなど、その内容は外国人ごとに異なります。
このような場合は、在留カードだけで判断せず、旅券に添付された指定書なども確認し、自社で予定している仕事を行うことができるか確認しておきましょう。
雇用契約書なども準備しておく
外国人雇用状況の届出では、すべてのケースで雇用契約書を添付するわけではありません。
ただし、雇用保険被保険者資格取得届などの手続きでは、状況に応じて雇用契約書、労働条件通知書、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿などが確認資料となることがあります。
また、外国人雇用では、単に届出を提出するだけでなく、予定している仕事内容が現在の在留資格で認められているか確認することも重要です。
そのため、採用時には雇用期間、賃金、勤務時間、職種、具体的な仕事内容などを整理したうえで、雇用契約書や労働条件通知書を準備しておくとスムーズです。
在留カードのコピーは届出への添付不要
「外国人雇用状況の届出をするとき、在留カードのコピーもハローワークへ提出する必要がありますか?」という質問もあります。
外国人雇用状況の届出では、在留カード等の写しを添付する必要はありません。企業側が在留カード等の原本を確認し、必要な情報を正確に届出へ記載します。
一方で、社内管理のために在留カードのコピーを保管する企業もあります。その場合は、在留カード番号や氏名など重要な個人情報が含まれているため、保管方法には十分な注意が必要です。
誰でも閲覧できる共有フォルダなどに保存せず、閲覧できる担当者を限定するなど、個人情報の管理ルールもあわせて整えておきましょう。
7. 外国人雇用状況の届出方法|ハローワーク・オンライン申請
外国人雇用状況の届出は、ハローワークへの書面提出だけでなく、条件に応じてオンラインで行うこともできます。
ただし、雇用保険の被保険者となる外国人と、被保険者とならない外国人では使用するシステムが異なります。
企業内でどの方法を利用するか決めておくと、外国人従業員が増えた場合にも管理しやすくなります。
雇用保険加入者は資格取得・喪失届で手続きする
雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険被保険者資格取得届または資格喪失届を提出します。
この届出に必要な外国人雇用状況の情報を記載することで、外国人雇用状況の届出も行ったことになります。
そのため、別途様式第3号を提出する必要はありません。
通常の雇用保険手続きの際に、外国人特有の項目を記載し忘れないことがポイントです。
雇用保険未加入者は様式第3号を提出する
雇用保険の被保険者とならない外国人については、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を使用します。
必要事項を記載し、事業所を管轄するハローワークへ提出します。
様式には、外国人の氏名、在留資格、在留期間、国籍・地域、在留カード番号、雇入れまたは離職年月日などを記載します。
アルバイトなど雇用保険の対象外となる外国人を雇う場合には、この様式を使用するケースが多くなります。
雇用保険加入者はe-Govから電子申請できる
雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険の資格取得届・資格喪失届をe-Govから電子申請することができます。
この場合も、外国人雇用状況に関する必要事項を入力して申請します。
外国人従業員が複数いる企業や、雇用保険手続きを日常的に電子申請している企業では、オンライン化することで管理しやすくなります。
ただし、電子申請でも期限が延長されるわけではないため、提出日には注意しましょう。
雇用保険未加入者もオンライン届出ができる
雇用保険の被保険者とならない外国人については、「外国人雇用状況届出システム」からオンラインで届け出ることができます。
紙の様式第3号を作成してハローワークへ持参する必要がなくなるため、外国人雇用を継続的に行う企業では便利です。
ただし、過去に紙の様式第3号で届出をしたことがある事業主がオンラインへ切り替える場合は、所定の切替・変更申請が必要になる場合があります。
初めて利用する場合は、事前に登録方法を確認しておくとスムーズです。
企業に合った方法で届出を仕組み化する
外国人を1人だけ採用する企業であれば、ハローワークへの書面提出でも大きな負担にはならないでしょう。
一方、外国人従業員が増えてくると、採用・退職のたびに期限や届出状況を管理する必要があります。
実務では、「誰が」「いつまでに」「どの方法で」届け出るかを社内で決めておくことが重要です。
特に人事担当者が複数いる企業では、届出済みか分からなくなることを防ぐため、管理表などで提出日まで記録しておくと安心です。
8. 外国人雇用の届出を忘れた場合の罰則と注意点
外国人雇用状況の届出は、企業の任意手続きではなく法律上の義務です。
そのため、届出をしなかった場合や、事実と異なる内容を届け出た場合には、指導や勧告の対象となるほか、30万円以下の罰金の対象になる可能性があります。
外国人を雇用する企業では、「知らなかった」「担当者が忘れていた」という理由だけで済ませず、社内で確実に管理する必要があります。
届出をしないと30万円以下の罰金の対象になる
労働施策総合推進法では、外国人雇用状況の届出をしなかった場合や、虚偽の届出をした場合について、30万円以下の罰金を定めています。
厚生労働省のQ&Aでも、外国人であることを容易に判断できるにもかかわらず届出をしなかった場合には、指導・勧告に加えて罰金の対象になると説明されています。
外国人を1人だけ雇用している場合や、短期間のアルバイトであっても、対象者であれば基本的な考え方は変わりません。
「人数が少ないから大丈夫」と判断しないよう注意が必要です。
虚偽の届出にも注意する
届出を提出していればよいというものではなく、内容が正確であることも重要です。
氏名、在留資格、在留期間、在留カード番号、雇入れ日や離職日などについて、事実と異なる内容を届け出た場合も罰則の対象になり得ます。
単純な入力ミスと意図的な虚偽では事情が異なりますが、企業としては在留カードなどの原本を確認し、正確に転記することが基本です。
外国人本人から口頭で聞いた内容だけをもとに入力すると、氏名表記や在留期間などを誤る可能性があります。
届出漏れに気付いたら放置しない
実務では、「数か月前に外国人を採用したが、外国人雇用状況の届出を忘れていた」というケースも考えられます。
このような場合、期限を過ぎたからといって、そのまま何もしないのは適切ではありません。
まずは、雇入れ日や離職日、雇用保険の加入状況などを確認し、管轄のハローワークへ相談しながら速やかに対応することが重要です。
過去の届出状況が分からない場合は、外国人従業員ごとに入社日・退職日・届出日を整理すると確認しやすくなります。
短期アルバイトでも届出が必要になる
「短期間しか働かない外国人なら届出は不要」と考えるのも注意が必要です。
厚生労働省は、雇用保険の被保険者とならない短期アルバイトであっても、外国人雇用状況の届出が必要と案内しています。届出期限前に離職した場合には、雇入れ日と離職日の双方を記載してまとめて届け出ることも可能です。
特に留学生を繁忙期だけ採用する飲食店や小売店などでは、短期間の採用でも手続きを忘れないようにしましょう。
資格外活動許可の確認についても同時に行うことが重要です。
届出状況を社内で一元管理する
外国人従業員が増えるほど、誰について届出をしたのか分からなくなるリスクも高まります。
人事担当者が変わったときに、過去の届出状況を確認できないというケースもあります。
そのため、在留資格、在留期限、雇入れ日、退職日、雇用保険加入の有無、届出日などを一覧で管理しておくことをおすすめします。
届出を単発の手続きとして考えるのではなく、外国人雇用管理の一部として仕組み化することが重要です。
9. 山梨県で外国人を雇用する企業が行政書士へ相談するメリット
外国人を雇用する際には、外国人雇用状況の届出だけでなく、在留資格や仕事内容、資格外活動許可、在留期間など複数の事項を確認する必要があります。
山梨県でも外国人雇用は広がっており、山梨労働局も毎年、外国人雇用状況の届出に基づいた県内の外国人労働者数や外国人雇用事業所数を公表しています。
外国人を初めて採用する企業ほど、「何をどこまで確認すればよいのか」を事前に整理しておくことが大切です。
在留資格と仕事内容を採用前に確認できる
行政書士へ相談するメリットの一つは、外国人を採用する前に在留資格と仕事内容の関係を確認できることです。
外国人雇用状況の届出ができることと、その外国人が自社で予定している仕事を適法に行えることは別問題です。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っていても、実際の仕事内容がその活動範囲から外れていれば、別の手続きが必要になる可能性があります。
採用後に問題が判明するよりも、求人内容や職務内容が固まった段階で確認するほうが対応しやすくなります。
必要な届出をまとめて整理できる
外国人雇用では、企業側が行う外国人雇用状況の届出だけを見ると、他の手続きを見落とす可能性があります。
外国人本人についても、転職によって勤務先が変わった場合などには、在留資格によって出入国在留管理庁への届出が必要になることがあります。
また、在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請、就労資格証明書などが関係するケースもあります。
どの手続きが企業側の義務で、どの手続きが外国人本人に必要なのかを整理できることは、実務上大きなメリットです。
山梨県内の中小企業でも管理しやすい形にできる
外国人雇用では、大企業のように専任の人事担当者がいるとは限りません。
山梨県内の中小企業では、総務担当者や経営者自身が、採用、社会保険、雇用保険、在留資格の確認まで担当するケースもあります。
その場合、外国人雇用特有の手続きをすべて担当者の記憶に頼ると、在留期限や届出期限を見落とす可能性があります。
行政書士へ相談しながら、外国人従業員管理表や採用時チェックリストなどを整えておけば、その後の外国人採用にも活用しやすくなります。
在留カードの確認方法について相談できる
外国人を採用する企業は、在留カードや旅券などによって届出事項を確認する必要があります。
厚生労働省は、外国人雇用状況の適正な届出のため、在留カード等読取アプリケーションの活用も案内しています。
ただし、在留カードに記載された在留資格名を見るだけでは、具体的な仕事内容まで判断できないケースもあります。
「この在留資格で、この仕事を任せてよいのか」という部分まで含めて確認することが、適正な外国人雇用につながります。
採用後の更新や転職にも継続して対応できる
外国人を採用した後も、在留資格に関する手続きは続きます。
在留期間が満了する前には更新手続きが必要になり、仕事内容が変われば在留資格変更の検討が必要になることもあります。
また、外国人が退職した場合には企業側の離職届出も必要です。
採用時だけではなく、雇入れから在留期間更新、退職までを一連の流れとして管理することで、届出漏れや在留資格上のトラブルを防ぎやすくなります。
10. まとめ
外国人を雇用する企業には、原則として外国人の雇入れと離職について「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります。
外国人雇用は年々増えており、2025年10月末時点では全国の外国人労働者数が257万人を超え、外国人を雇用する事業所も37万か所を超えています。
企業にとっても、外国人雇用に関する手続きを正しく理解しておく重要性が高まっています。
外国人雇用状況の届出は、外国人を採用するときだけの手続きではありません。
外国人が会社を退職したときにも届出が必要です。
対象となるのは、原則として特別永住者や在留資格「外交」「公用」を除く外国人労働者です。
入社時と退職時をセットで管理し、どちらか一方だけ忘れないようにしましょう。
外国人が雇用保険の被保険者となる場合は、資格取得届や資格喪失届によって外国人雇用状況も届け出ます。
一方、雇用保険の被保険者とならない場合は、外国人雇用状況届出書(様式第3号)を使用します。
届出期限も異なるため、「外国人だからすべて同じ手続き」と考えないことが重要です。
採用時に雇用保険加入の有無を確認し、必要な様式と期限を決めておきましょう。
届出を行う際には、外国人本人から在留カードや旅券などの提示を受け、在留資格、在留期間、在留カード番号などを確認します。
届出時に在留カードの写しを添付する必要はありませんが、企業側が正確な情報を確認することが求められています。
留学生や家族滞在の外国人をアルバイトとして採用する場合には、資格外活動許可についても確認が必要です。
届出を作成するためだけではなく、適法に就労できるかを確認するという視点を持ちましょう。
外国人雇用状況の届出を行わなかった場合や、虚偽の内容を届け出た場合には、30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。
企業としては、「外国人を採用したら担当者が思い出して手続きする」という運用では不十分です。
採用時・退職時のチェックリストや外国人従業員管理表を作り、期限と提出状況を記録しておくことが重要です。
外国人従業員が増えるほど、このような仕組み化が届出漏れの防止につながります。
外国人雇用で最も重要なのは、「届出を提出したから問題ない」と考えないことです。
外国人にはそれぞれ在留資格があり、その範囲内で働く必要があります。
企業側は、採用前に在留資格と仕事内容を確認し、採用時には外国人雇用状況の届出を行い、その後も在留期限や仕事内容の変更などを管理する必要があります。
山梨県・甲府市周辺で外国人を採用する企業で、在留資格の確認や外国人雇用に必要な手続きに不安がある場合は、採用後ではなく採用前の段階から行政書士へ相談するとスムーズです。


